2012/02/09 10:20:20
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名前を変えてみると

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我が家で使っているセキュリティ管理ソフト・ウイルスバスターが、新しいバージョンになりました。毎年、ちょうどこの時期になると翌年の数字を冠した新バージョンが登場します。毎年2月上旬に新バージョンが登場するジャストシステムの一太郎とよく似ていますね。ある意味、これも季節の風物詩です。

ウイルスバスター トレンドマイクロ・オンラインショップ

「ウイルスバスター2011」の名称の後ろには、「クラウド」という言葉がくっついています。もちろん、これは単なる雲(Cloud)の意味ではありません。近年よく使われるようになったキーワードの一つ、「クラウド・コンピューティング」から持ってきたものです。トレンドマイクロ社によると、クラウドの活用によって、ウイルスバスター2011は大幅に動作が軽快になったのだとか。真偽のほどは、これからしばらく使っているうちに明らかになってくるのでしょうけど、もし本当に安全性を確保した上で動作が速くなったのなら大歓迎です。


もともと、クラウド・コンピューティングの「クラウド」は、インターネットの存在を雲に例えた表現です。ネットワークの向こうにあるコンピューターの能力(計算やアプリケーションの実行、データ保存など)を利用する作業形態を指して、クラウド・コンピューティングと呼ぶ...と言えば、だいたい当たっているのではないかと思います。

そうした意味では、インターネットを使った作業は程度の差こそあれ基本的にはクラウド・コンピューティングであるわけですが、もう少し狭義では、インターネットの向こうにあるコンピューター、ソフトウェア、記憶領域(ストレージ)などが、企業によりサービスとして提供され、ユーザーは会員登録をして(有料か無料かはともかく)これを利用する...というスタイルを指すようです。

基本的に仕事をするのはクラウド側のコンピュータですから、手元にある端末には大したパワーは要りません。どうしても能力面で妥協せざるを得ないモバイルPCやスマートフォンにとっては、限られた能力の中でより高度な仕事ができるため、こうしたシステムはうってつけです。無線による高速の通信が可能になっているからこそ、どこにいてもクラウドを利用可能になった...とも言えますね。

「クラウド・コンピューティング」という言葉そのものは、あのGoogleのCEOが初めて使ったと言われています。実際にGoogleは狭義のクラウド・コンピューティングによるサービス提供で業績を伸ばし、世界で最も有名な企業の一つになりました。

ちなみに、ウイルスバスターの場合は、これまで個々のユーザー側にすべて保存していたウイルス等のデータベースを、インターネットでつながった(つまり、クラウドの中の)サーバー側に大幅に移したのがポイントなのだそうです。必要に応じて、リアルタイムでサーバーから情報を取得するようにしたことで、クライアント側の負荷を軽くするとともに、常に最新の情報を使えるようになります。もちろん、十分に高速なネットワークが確保されていることが軽快な動作の前提になりますけどね。


ちょっと落ち着いて考えてみると、このような考え方は決して新しいものではなく、ずっと昔から行われていることです。学生時代に、学内にある大型コンピューターの計算能力を研究者たちが共同で、時間をちょっとずつ分け合って利用していたのを見ています。かつては、クライアント側に絶対的なパワーがなかったこともあり、強力な計算機を使いこなすためにはネットワークを介して共同で利用した方が有利でした。

やろうと思えば、他の大学や研究機関にある大型コンピューターにもちょっと計算をお願いすることができますが、これはインターネット経由で行うことになるので、まさにクラウド・コンピューティングそのものです。ずっと前から行われていたことの名前だけをちょっと変えてみたら、最新のトレンドのようになってしまった...というところがあって、何となく胡散臭さも感じます。

ただ、名前が変わったのは、先に触れているとおり時代の要請が変わってきたからとも言えます。結果的に同じことをしていても、考え方は新しいんだ!と主張するためには、名前はやっぱり変わるべきだったのかも知れません。それが市場のニーズとマッチしたからこそ、Googleはここまで躍進できたわけですし。


名前を変えるだけで何だか新しくなったような気がする...といえば思い出すのが、選挙になると各政党や候補者から出てくる「マニフェスト」。要するに選挙公約のことなんですが、これが一般に広く配布されるために、それなりに厚みのある冊子として作られるようになったのは一つの変化です。そして、私たち一般市民が、マニフェストの達成度について高い関心を持つようになったのも、確かな変化です。

最近では、マニフェストという言葉もすっかり一般的になり、もはや新しさは感じなくなっています。これを嫌ったのか、みんなの党は同じように政策課題をまとめたものを「アジェンダ」と呼んでいるようで、渡辺喜美代表はメディアに対して連呼しています。

みんなの党は、夏の参議院議員選挙で大躍進はしましたが、まだ自らの手で政策を実現するレベルにはほど遠く、民主党自民党などの大政党の協力を得るしかありません。ですから、「これをやります!」というマニフェストほど強い表現はできない...というのは正直な思いかも知れませんが、それでもやっぱり「小手先のテクニック」感があります。

まあ、マニフェストでもアジェンダでも選挙公約でも構いませんが、選挙で選ばれた皆さんには、約束を実現するべく全力を尽くしてほしいものです。

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