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ぜんぜん新しくない

木曜日・5月8日に、auが2014年夏の新機種発表会を開催しました。スマートフォン6機種、タブレット2機種がお披露目されました。今月から8月にかけて、順次デビューするそうです。

今回の新製品は、そのほとんどがCA(キャリアアグリゲーション;複数の周波数帯を同時に使って帯域を確保すること)による最大150MbpsのLTEでの通信、さらに子会社のUQコミュニケーションズで提供するWiMAX 2+での通信をサポートしています。もっとも、WiMAX 2+自体はLTEの一種であるTD-LTEと互換の規格になっているので、ソフトバンクが同様にTD-LTE互換であるAXGP方式のSoftBank 4Gを使っているのと、やっていることはそう変わらないのですが。

端末については、各社からいろいろな機種が出てはいるわけですが、どの機種も超高解像度の大画面、防水防塵、超大容量のバッテリーによる長時間駆動、クアッドコアの高速プロセッサ…と、現時点で取り入れられるスペックはほぼ出尽くした感があります。デザイン面でも、大画面化、薄型化、狭額縁化を突き詰めていくと、結局のところはディスプレイサイズの「板」に近づいていくわけで、削ぎ落としていくところが限られる中で、どれも同じようになってきた感があります。

しかも、Xperia ZL2 SOL25とXperia Z2 Tablet SOT21はソニーから、GALAXY S5 SCL23はサムスンから既に発表されていた機種ですし、AQUOS SERIE SHL25も、先にソフトバンクから発表されているAQUOS Xx 304SHとほぼ同等の端末と言ってよいでしょう。「新機種発表会」にしては、あまりにも驚きが少なすぎます。


そんな中で、京セラが作っている2製品には、ひと味違った主張を感じて面白かったですね。特に、TORQUE G01は、アメリカ国防総省が規定するMIL-STD-810Gという規格に適合し、防水防塵に加え耐衝撃、耐振動や塩水耐久性能などの能力も高い、超タフネス系スマートフォンです。auには、以前からカシオが同じ方向の端末・G’zOneシリーズを供給し続けていましたが、カシオはNECと協業した末に結局スマートフォンからは撤退。TORQUE G01は、機種変更したくてもできなかったG’zOneユーザーたちの助け船になりそうですね。

手で濡れても操作可能なタッチパネルは、それ全体が受話スピーカーとなるSmart Sonic Receiverを搭載。スピーカー穴がありません。このタイプの製品は以前使ったことがありますが、防水性能という面だけでなく、実に音声が聞き取りやすい、良くできたデバイスです。プロセッサや画面のサイズと画素数、カメラ等のスペックでは他の製品に劣る面もかなりありますが、実用には十二分なレベル。これはなかなかイケてる新製品です。ソフトバンクに乗り換えてから1年も経たない現状をちょっとだけ恨みました(笑)。

余談ですが、タフネス・スマートフォンと言えば、パナソニックが法人向けに提供している5型画面のタブレット・タフパッドFZ-X1は、TORQUE G01と同レベルのタフネス性能をクリアし、LTEでのデータ通信ばかりか音声通話までも可能な「スマートフォン」と呼んでも良い存在です。しかも、スペック表を見る限り、国内キャリアならどこでも使えそうな感じです。

パナソニックも、個人向けのスマートフォンからは既に撤退してしまったんですが、ELUGAなるブランドで他社と大差ないスマホを発売して競争するくらいなら、最初からこちらの方向で勝負した方が確実に固定ファンが付いたと思うんですけどね。もっとも、それが商売に結びつくかどうかはまた別の話…というのが辛いところですが。


さて、話をauの新機種発表会の方に戻しますが、端末に新味が感じられなかっただけでなく、CAの導入はこの発表会に先駆けて発表されていたことですし、WiMAX 2+を取り込んでくることも、かつてWiMAXを内蔵してきたこともある流れからすれば容易に想像できることでした。根本が同じLTEである分だけ、WiMAX 2+の方が「au向け専用」の特別な設計変更などが少なくて済みそうですし、電力消費などの面でも有利でしょう。

さらに、今回鳴り物入りの新サービスとして発表されたau WALLETも、構想自体は2月に発表されていたものです。MasterCard、WebMoneyとの連携により、「多くの店舗でグローバルに使える電子マネー」を実現しようという発想は意欲的だと思います。決済自体はカードを使い、あえておサイフケータイとの密接な連携はしなかったのも、グローバルな展開を狙ったところかも知れません。これならiPhoneでも使えますしね。ただ、あらかじめ聞いていた話なだけに、やっぱり驚きはありません。

また、今年初めあたりから各方面で話題になっている「音声定額制」の料金プランについても、今回発表はありませんでした。総じて、今回の新機種発表会は、機種以外の面でも全然新しさを感じなかった…というのが私の印象です。もうちょっと何とかならなかったのでしょうか。

そう思ったところで俄然気になったのが、ソフトバンクの孫正義社長が「当面の間新機種発表会はやらない」と発言していること。今夏モデルとして現在発表されているのはAQUOS Xx 304SHだけ。確かに、この状態では新機種発表会を開いても格好が付きません。iPhoneの発表会はアップル社が仕切ってしまいますしね。

単に手持ちの駒が十分に揃わないからなのかも知れませんが、実際には、auの発表会を見ると分かるように、機種のバリエーションで差別化を図るのはだんだん難しくなってきています。ハードウェアを中心にして発表会を開いても、同じように新しさを感じない印象を与えるのを嫌がったのかも知れません。ソフトバンクだって、先日の決算発表ではいろいろとサービス面の話もしていたようですし、喋りたいことはいろいろあるはずなんですが、それはこの場所ではない…ということなのでしょう。


今度の水曜日・14日には、NTTドコモが発表会をセッティングしています。XperiaやGALAXYは、従来の実績も考えれば、おそらくauだけでなくドコモからも発売されるでしょうし、XxやSERIEと勝負できるAQUOS ZETAブランドのシャープ製端末も出てくるでしょう。富士通からは、先日発表された高機能版ATOKを採用したARROWSが登場することでしょう。TORQUEが投入される可能性も捨てきれませんね…既にSIMフリーでドコモ回線で使える端末が販売されていますし。意外な隠し球はちょっと思いつきません。

LTEの回線に音声通話を乗せるVoLTE対応の端末が出てくれば、技術的には新しい話になるのでしょうけど、これも既に完全音声定額制の「カケホーダイ」プランを発表しているわけですし、ユーザー目線として新しい魅力的な話にはなりそうにありません。考えれば考えるほど、何に驚けばいいのか首をひねるばかりです。

そんな状況で、いかに「新しさを印象づけられるか」(新しいモノを発表できるか、とはちょっと違います)が腕の見せ所なんですが…ともかく、あと3日は楽しみに待ってみることにしましょう。



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