表題登記

新居に引っ越してきてから、2ヶ月半ほどが過ぎました。引っ越し直前のドタバタの日々は、早くも懐かしい思い出になりつつあります。しかし、私には、あのときのことでどうしても書き留めておきたいことがありました。建物の表題登記を、自前で済ませたんです。

表題登記とは、簡単に言えば、建物が完成したときに「こんな建物が建ちました」と法務局に登録すること。不動産登記法という法律により、建物は完成から1ヶ月以内に表題登記の手続きを行わなくてはならない…と定められていて、従わない場合には罰則まである、重要な手続きです。また、住宅ローンを借りるために必須の「抵当権」を設定するためには、表題登記が行われている必要があります。

義務ではあるわけですが、登記すると、私たちにとっても売買するときなどに権利関係を公的に証明してもらえる…というメリットがあります。しかし、これだけ強制する裏には、お役所側の「税金を漏らさず徴収したい」という目論見が透けて見える気がします。すでに静岡県には土地にかかる不動産取得税を納めましたし、浜松市は固定資産税のための建物評価に我が家を訪れました。


これまで、農地法や都市計画法の申請は行政書士に土地登記関連の手続きは司法書士に…と、お役所への手続きを結構な手数料を支払ってお願いしてきました。このときに、「法律で決まっているから仕方ない」という表現をしましたが、これは仕事として手続きを請け負うためには資格が必要だというだけの話で、当事者本人が手続きをしても全然構わない…どころか、それが本来の形です。もっとも、私たち一般市民には手続きをスムーズにこなすだけの知識はありませんし、平日の昼間にお役所に手続きに出かける時間もなかなか作れないんですが。

いろいろとややこしい書類を作らなくてはならない登記手続きの中でも、建物の表題登記は比較的簡単なものだと思います。複数の権利者が絡むことなく、建物の所有者が自身の身分証明と共に建物の内容を記した文書や図面を用意すれば登記が可能です。しかも、登記に必要な登録免許税は無料。私が自ら汗をかく気合いと根性さえあれば、センセイ方にお願いするための手数料が節約できます。

今回の話は、資金計画がタイトな中で、少しでも出費を抑えるための方法としてBESS浜松のKさんから提案をいただいたものでした。単なる節約だけでなく、滅多に機会のない貴重な体験ができる…との言葉にくすぐられ、チャレンジしてみることに。さすがはKさん、私の性格をよくおわかりでいらっしゃいます(笑)。


「比較的簡単」とは言ったものの、登記申請書は、言い換えると公的な証明のための基礎になる資料を作って提出するわけですから、きちんと法律に則ったものを、正確を期して作らなくてはなりません。法務局のWebサイトの他、Web上には数多くの「登記申請書作り指南サイト」が存在しますが、これらを使った自己学習にも限度があります。

そこで、土地と建物に関する諸々の書類をどっさり抱え、静岡地方法務局浜松支局に足を運びました。ここには、登記申請書作成に当たり、相談を聞いてくれたり、書類をチェックしたりしていただける窓口があります。まずは、ここで作成方法を聞くことにしました。

最初に、今回の場合、私は次の3つの申請をする必要がある…との説明を受けました。

  1. 旧住所で登録されている土地の登記名義を、現住所に変更する
  2. 現状では「田」となっている地目を「宅地」に変更する
  3. 建物の表題登記を行う

それぞれに所定の登記申請書と必要な添付資料があります。一番面倒になりそうだったのが、建物の状況を示す平面図。図面の書き方自体の指定もややこしいんですが、それ以上に気になったのが、図面の線の太さが「0.2mm以下」と規定されていることでした。

ロットリング等の製図ペンを使えば、手書きの図面で条件は満たせるんですが、私はCADソフトで描くことにしました。定番のJW_CADを始めとして、無料で入手できるソフトがいくつかあります。線の太さだけでなく、寸法そのものも正確に描くことができます。我が家の場合、所定のB4判用紙に印刷できるプリンターもありますから、話はかなり簡単になります。CADソフトはそれぞれ独特の癖のある操作系を持っていますが、基本的な考え方さえ押さえてあれば何とか使えるものです。

書類の記載内容にも、いろいろと気にしなくてはならないポイントがありました。母屋と離れは一体の建物なのかどうか、別々なら離れの用途表示はどうするのか…など、相談員の方や法務局の担当の方と相談して、記載方法を決めました。


3種類の申請書を仕上げて、提出前のチェックを受けるために再び浜松支局の相談窓口に持ち込みました。前回指示されたとおりに作っていったはずなのに、指摘される点のなんと多いこと。とは言っても、内容そのものには全く問題なく、前回は何も言われなかった綴じ込みの方法(複数ページある場合は割り印をする、とか)、写しを提出する書類に「原本と相違ありません」と署名・捺印することなど、主に体裁の面の指摘でした。そういうことは最初から教えていただければ、私だってちゃんと作っていったのに…と、文句の一つも言いたくなるところでしたが、無料で教えていただけるわけですし、ここはじっと我慢です。

もう一つ、この日に初めて聞いた話が、最初に住所変更のみの申請を行い、これが受理・反映されてから残りの申請を行わなくてはならない…ということ。そんなに手間がかかるのなら、もっと急いで書類を作ってきたのに…と、また文句を言いたくなりましたが、ここもぐっと飲み込んで、とりあえず1枚だけ申請書を提出してきました。

住所変更が受理されるのに1週間ほど、次の申請の処理にも1週間ほどかかり、年末休みを挟んでしまったこともあり、結局すべて済むまでに1ヶ月近くの時間がかかってしまいました。浜松支局に足を運んだ回数は、結局4回にも及びました。実は、引っ越し当日に私が出かけなくてはならなかった「用事」もこれ。他にもやらなくてはならないことがたくさんあったのに、かなり振り回された感があります。

それでも、Kさんの言うとおり、こんな機会でもなければ一生なかったであろう経験ができたわけで、しかも出費を抑えることまでできたんですから、良かったのではないでしょうか。それにしても、こんな面倒な経験を楽しめてしまう私って、やっぱりM気質なんでしょうかねぇ?(笑)



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