またしても電源が(涙)

梅雨も明けて猛暑が続くある日のこと、仕事中の私のところに妻の紫緒から携帯電話のメールが届きました。タイトルは「私のパソコン」。電源スイッチを押して起動しても、「カチンカチンと音がしてすぐ止まってしまう」と書かれていました。もちろん、これではまともに使えません。

ともかく、さらに症状を聞いてみました。電源スイッチが反応しなかったり、電源が入ってもすぐにその音がしてシャットダウンしてしまったり…という状態のようです。音はある程度の間隔を置いて聞こえているのだとか。また、起動時の画面もいつもと何だか違う、という話もありました。

パソコン整備士の端くれとしては、電話やメールだけである程度症状をつかむのは重要なスキルだと思うのですが、仕事中にそれに集中してしまうのも大問題です。ともかく、帰りの電車の中でちょっと原因を考えてみました。

もちろん、最大のポイントは発生している音なんですが、パソコン本体から聞こえてくる「カチンカチン」はそれほど多くありません。さしあたり思い当たるのは、ハードディスクが機械として壊れてしまったときのあの嫌な音、あとは電源系統でリレーの動作する音くらいです。

紫緒の使っているパソコンは、かつて私のパーツのお下がりで組み立てたPentium 4機。万が一この音の発生源がマザーボードの電源ブロックだったりしたら、今さら置き換えられるパーツも売っていませんし、総取っ替えするしかなくなってしまいます。そうなったら、エアコンを買ったばかりで、さらに今出費するのはちょっとキツいなぁ…と思いつつ、電車に揺られていました。

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もう一度電源にこだわる

ワガママVistaちゃん (3)」の続きです。電源を交換したら、S3スタンバイ状態から復帰できなくなってしまった私の自作タワー。何しろ、環境の中で変わったのは電源だけですから、ここに原因を求めたくなります。前回にも触れたとおり、3年前にもS3から復帰できないトラブルには見舞われたんですが、このときにも電源が問題になりました。

しかし、通常の起動には全く問題がなく、作業中も至って安定しています。それに、3年前とは違って、今回は「ときどき」ではなく毎回復帰に失敗しています。「アナログなトラブルはアナログな部分を疑え」は、3年前にも触れたとおり私のトラブルシューティングの方法論ですが、その論法で行けば今回は全くデジタルな症状。デジタルな部分…言い換えるとソフトウェア側のトラブルではないか?という気もしてしまいます。

そんなわけで、とりあえずは「電源の不良」という仮説は採用せずに、まずはWindows Vistaのサポート情報からS3スタンバイに関するものを収集してみました。すると、これが意外にたくさん出てきます。既に公開パッチが存在するものもありますし、マイクロソフト社にパッチを請求するとダウンロード用のURLを教えてもらえるものもあります。これらをいくつかインストールしてみましたが、状況は全く変わりませんでした。


Seasonic M12 SS-500HM

こうなると、いよいよ電源の問題を疑わなくてはなりません。それぞれの電源を見比べながら、どこに問題があったかを考え、もう1台電源を入手することにしました。買ってきたのがこれ。オウルテックが販売するSeasonic M12シリーズの電源、SS-500HMです。

紫緒タワーのAntec Neo480と同様、必要な電源ケーブルだけを接続して使う構造になっていて、ケース内の空気の流れを妨げにくいのが特徴の一つ。底面の120mm吸気ファン、背面の六角メッシュの他に、前面に60mmの吸気ファンを装備し、電源内の熱溜まりを防ごうとしています。基本的な回路設計でも、105度C仕様の日本製コンデンサを使うなどこだわっています。購入価格は18,000円。このあたりまで来ると、十分「高級電源」と呼んで良いでしょう。価格に見合った、丁寧な作りだと感じます。


型番の数値通り、SS-500HMの最大定格出力の合計は500W。ピーク出力で550Wというスペックは、これまでの両電源と大差ありません。以前にも触れているとおり、問題になるのは合計の電力ではなくて個々の系統の内容。今回の話題になっている3種の電源で、各系統の最大電流を一覧表にしてみましょう。

modelKEIAN「静か」
KAD-550AS SLI
SILENT KING-5
LW-6560H-5 EPS
Seasonic M12
SS-500HM
+3.3V30A24A24A
+5V36A24A30A
+12V120A16A18A(Peak21A)
+12V218A16A18A(Peak21A)
+12V314A18A(Peak21A)
+12V48A18A(Peak21A)
+12V計38A40A38A
-12V0.8A0.5A0.8A
+5VSB2.5A3.0A3.0A(Peak3.5A)
Total550W560W500W(Peak550W)

最近の電源では、+12Vが複数系統用意されているのが普通ですね。例えばSeasonic M12の場合、+12V2がCPU、+12V3と+12V4がビデオカード用(SLIでハイエンドのビデオカードを2枚挿し…という構成もありますからね)、+12V1がそれ以外に…という配分になっています。おそらくSILENT KING-5も同様の配分でしょうし、「静か」でもCPUとそれ以外…という配分になっているはずです。

一つ注意しなくてはならないのは、各系統の最大電流が同時に取り出せるとは限らないこと。+12Vの各系統の値と「+12V計」の値を見比べるとよくわかります。SILENT KING-5も、Seasonic M12も、「+12V計」は各系統の最大値を合計した値を下回ります。

ビデオカード専用の+12V系統を使うためには、ビデオカード側に専用の電源入力端子が付いている必要があります。しかし、私の持っているビデオカードにはこの端子がなく、給電はマザーボードのPCI Express x16スロットからになります。結局、私が使える+12Vは2系統だけ…ということになります。そうなったときに、SILENT KING-5ではせっかく+12V全体で40A使えるうちの16A+16A=32Aしか取り出せません。一方、Seasonic M12では18A+18A=36A。ピーク時になら38Aをフルに取り出せます。この余裕がひとつ目の選択理由です。

もう一つ気にしてみたのが、+3.3Vと+5Vの最大電流。SILENT KING-5では、両方とも「静か」よりもずいぶん低い値になっています。しかし、各社の電源の仕様を見比べてみても、+3.3Vと+5Vが「静か」ほど高い製品は最近では見あたりません。BIOS設定画面でモニターされたSILENT KING-5の電源電圧を見ると、+3.3Vは3.4V強ありましたが、+5Vは5Vを下回っていました。もしかして、+5Vは不足しているのではないか?と考え、こちらの値を意識してみました。

そして、忘れてはならないのはスタンバイ中の電源を供給する+5VSBの仕様。ここにも十二分な余裕があります。待機電力として5×3.5=17.5Wも必要なのかどうか、疑問に思うくらいですが、復帰動作中にはそれなりに電力が必要になるのかも知れませんね。


…と、いろいろ考えて電源を交換してみたわけですが、結果は全く変わらず。相変わらず、S3スタンバイ状態からの復帰ができない状態が続いています。スタンバイ動作を、システム全体が動作した状態で消費電力を下げるS1スタンバイに切り替えれば、正しく復帰できるので、とりあえず短時間の中断ではS1状態に移行させて、長時間復帰されないときにはハードディスクにメモリ内容を待避させて休止状態にする…という運用をしています。

S1からの復帰はS3からの復帰よりもずっと速いので、その点ではこれまでより快適になった…と言えないこともないんですが、休止状態からの復帰にはそれなりに時間がかかります。S1状態では省電力効果も低いですから、何とかしてS3状態でのスタンバイは実現させたいところなんですが…これについては継続課題ということになりそうです。とりあえずは、来年第1四半期に登場するというVistaのサービスパック1待ちですが、どうなることやら。

SILENT KING-5は、予備電源として自宅に待機させてあります。前回のような「電源が故障」というトラブルがあったときに、対応が素早くなりますからね。パソコン整備士としても、交換用のパーツはトラブルを切り分けるために必須のアイテムの一つです。

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ワガママVistaちゃん (3)

Windows VistaのFlip 3D

このタイトルで書く記事も3回目です。自作タワーにインストールしたWindows Vista Ultimate x64版は、私の財布に多大な負担をかけた(苦笑)末に、しばらくは何事もなかったように動いていました。何しろVistaちゃんのワガママはすべて聞き入れて、相当贅沢な環境を用意しましたから、動作は実にスムーズ。噂のFlip 3Dも、全く負荷を感じることなく滑らかに動きます。 続きを読む “ワガママVistaちゃん (3)”