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電車男、銀幕デビュー

毎度お馴染みとなりつつある映画館通い。6月の1本目は「電車男」にしました。この作品、何と言っても一番の特徴はその原作の出所。もともとはインターネット掲示板・2ちゃんねるでのやりとりだったんですよね。それが昨年秋に書籍化されると80万部以上売れる大ベストセラーになり、その後様々なメディアに展開されてきたという経緯を持ちます。ちなみに、映画に先駆けて「朗読劇」化されていて、BIGLOBEで現在も配信されています。この後にはテレビドラマ化、さらには舞台化も控えているのだとか。

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いつも、映画の原作にはあまり触れずに出掛けることが多い私なんですが、今回は既に原作を読んでいました。と言っても、さすがに2ちゃんねるでのやりとりをリアルタイムに見ていたわけではありません。2ちゃんねるは何度か覗いたことはありましたが、アンダーグラウンドの退廃的雰囲気が漂ってるのを強く感じて、その後は好んで見に行くことはしなかったんですよね。

私が読んだのは、後でログがまとめられたもの。1,000円以上もする本を買わなくても、このサイトの内容を読破すれば本と全く同じものが読めるんですが、それでもあれだけ本が売れてしまったのは、インターネットというメディアがまだまだ大衆化していないことの表れかも知れません。

このログによると、彼からの発端になる書き込みがあったのは昨年3月。電車の中で酔っぱらいに絡まれる女性を助けた彼が、その後彼女と親密になっていく様子がつづられています。女性とお付き合いしたことが一度もない彼が、2ちゃんねるに集う人たちに助けを求めながら、それでも自分自身で一歩ずつ進んでいく様子が伝わってきます。あまりにトントン拍子に話が進みすぎて、そんなうまい話があるわけないだろう?と思ってしまったのは男のひがみというヤツでしょうか。

読んでいて感じたのは、インターネット掲示板というこれまでにはなかった舞台を使ってはいるものの、語られているのは昔ながらの純粋な愛と友情の物語なのだということ。情報化が進んだ社会の中で人間同士の関係が希薄になったと言われ、掲示板も時には犯罪の舞台を整えてしまうことがありますが、実は人間ってまだまだ捨てたものではないな…と感じられました。それが、書籍「電車男」が大ヒットした要因ではないでしょうか。


映画では、主人公の電車男を山田孝之が、相手女性のエルメスを電車男自身が「似ている」と書いた中谷美紀が演じました。エルメスのキャスティングそのものも話題になりましたが、電車男のアキバ系からの華麗な変身ぶりにも注目です。まあ、もともとイケメンの男を地味に見せるのは、その逆をやるよりはずっと簡単なんですけどね。

原作が基本的にパソコンから打たれる文字だけ(「アスキーアート」という文字で描かれた芸術的な「絵」もあるわけですが)ですから、そこから映画を作っていくのはいろいろできる余地がある分だけ逆に難しかったのではないかな?と思います。ネット掲示板の文字だけでやりとりするバーチャルな世界と、電車男とエルメスがデートする現実世界を行ったり来たりするわけで、一歩間違うと何が何だかわからなくなる危険性がありますが、その危うさを逆に独特の世界作りに生かしていたような気がします。

見ていて気がついたのが、本名が全然出てこないこと。「電車男」は掲示板上で彼が名乗ったニックネームですし、「エルメス」は最初に彼女が彼に送ったのがエルメスのティーカップだったことから彼女を指す掲示板上での通称になったもので、どちらも現実世界にいるときには絶対使わない名前です。あえて本名が出ない作り方にしたことで、見る人それぞれの想像力の働く余地があって良かったのではないかな?と思います。そして、彼らを自分自身にも投影して感情移入しやすくなるわけです。

そのせいか、電車男の過剰なくらいおどおどした挙動を見ているのは結構辛かったですね。私自身、もし東京に住んでいたらどっぷりアキバ系になっていた可能性もあると思ってますが、それ以前にひとりの恋する男の気持ちに共感してしまったんですよね。ついついスクリーンを見ながら拳を握りしめて、「頑張れ、電車男」とつぶやいてしまいました。彼のように思い切って一歩を踏み出すことができれば、人生ももうちょっと変わるのかも知れませんが…先週からどうもこういう湿ったモードに入ってしまって良くありませんね。そろそろ切り替えないと。


電車男のことが話題になり始めた頃に、「電車男」って本当に実在する人物なんだろうか?と思ったことがあります。2ちゃんねるに書き込まれた一連のやりとりがあることは確かなわけで、少なくとも「電車男」として書き込みをした人物がいることは間違いありません。ですから、私が言うのは彼が書いたことは事実の体験談なんだろうか?ということ。

もともと書き込む人たちの顔が非常に見えにくい掲示板での話ですから、このことを突き止めるのは容易なことではありません。しかし、その後「電車男」を名乗る人物がチャットでのインタビューに応じて(あくまでも「姿」は見せないわけです)いるのを読むと、少なくとも全くの作り話ではないのだろうな…と感じます。というのも、やりとりが実に自然なんですよね。全て計算した上で作っているとしたら、それはそれでとんでもない能力だと思います。インタビューは映画館で売っている公式パンフレットで読めますし、「ありがとう!電車男」という新刊も出ています。

事実に基づいているとした上でひとつ言えるのは、彼の書き方が上手かったのかな?ということ。一連の彼の書き込みも、一歩間違えたらただの自慢話にしか読めない内容だと思うんですよね。それをそう読ませず、逆にたくさんの応援団を得ることができたのは、やっぱり文章の書き方。それも、技術というよりむしろ彼の人となりが文章の中に出て、それが伝わったのかも知れませんよね。

4日に公開になったばかりの映画「電車男」を見に行ってきました。6月1本目、今年11本目になります。2ちゃんねる発の大ヒット小説の映画化ですね。

そういえば、たくさんのキーボードを打つ手が次々に映った場面で「あ、レッツノートが映った」と思ってしまった私。それを判別できる時点で既にビョーキです。まあ、円いフラットパッドのおかげなんですけどね。



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