Windows XPのマイクロソフト社でのサポートが、2014年4月9日(日本時間)で終了することが決まっているのは、皆さんもご存じかと思います。この日を過ぎると、これまでWindows Updateで提供されてきたWindows XP向けのセキュリティ更新が提供されなくなり、様々な被害を受けるリスクが高まります。
前回に続いてのベンチマークテスト…ということになりますが、今回のポイントはWindows XP Professional x64 Edition。前回のテストは、全て32bit版のWindows XP上での結果です。今回は、同じハードウェア上で32bit版と64bit(x64)版のWindows XPを走らせて、その上でのソフトウェアの動作速度を比較してみたいと思います。
本来、x64 Edition上では64bit版のソフトウェアを使わなくてはならないわけですが、いきなり全てのソフトウェアが64bit化されるわけではありません。ほとんどの場合、標準で組み込まれているWOW64(Windows 32 On Windows 64)というコンポーネントを使って、従来使っている32bit版のソフトウェアをエミュレーションで動かすことになります。
Super πも32bitプログラムなので、x64 Edition上ではWOW64の能力を見ていることになりますが、結果は32bit版Windows XPとほとんど変わりませんでした。どうやら、WOW64での32bit版ソフトの動作は、32bit版Windows XPでの速度とほぼ変わらないか、違ったとしても気にはならないレベルである…といえそうです。64bitモードでの動作がエミュレーションを高速に行えるくらい十分に速いのか、それとも変換自体が非常に簡単なのか…後者のような気がしますが、この結果だけでは明言はできないところです。
Windows Media形式の動画を作るWindows Media Encoderは、64bit版Windows XPに32bit版をインストールすることができず、「x64専用版」が用意されています。まずは、これで比較してみました。前回と同じ15秒間のWeb公開向けの小さな映像で試したところ、どちらも全く13秒で終了。サイズが小さすぎて競争にならない?と思い、3分間の映像をハイビジョンクラスの動画に拡大する…という、思いっきり重い処理にしてみました。ところが、これでもほとんど時間に差がありません。何だか拍子抜けしてしまいました。
32bit版↓ HTTP_USER_AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.2; WOW64; SV1)
64bit版↓ HTTP_USER_AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.2; Win64; x64; SV1)
参考:32bit版Windows XPでの表示↓ HTTP_USER_AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
それぞれを細かく見ていくとこれはこれで結構面白い(「x64」や「WOW64」の文字も見えますね)んですが、注目したいのはOSのバージョン番号。64bit版のWindows XPは、内部的には「Windows NT 5.2」であることがわかります。つまり、「Windows NT 5.1」である32bit版のWindows XPとは別のバージョンとして扱われていることになりますね。
これには、Windows XP Professional x64 Editionが、32bit版のWindows XPではなくx64版のWindows Server 2003(これも内部バージョンは「Windows NT 5.2」)をベースにして作られた…という事情があるようです。この方がOS自体の安定性では有利そうですが、アプリケーションのインストーラが厳密にバージョン番号をチェックしていたりすると、実際にはx64版でも動作するかも知れないのにインストールで弾かれてしまう…という事態になります。この点を修正するだけで、動作するソフトはもう少し増えるのかも知れません。