9枚のWindowsともう1枚

週末に、自宅のPC周りの片付けを行いました。昨年の秋に新しいデスクトップPCを購入し、自作PCはひとまず卒業…となったわけですが、これに伴い、寝室の押し入れの中にあった古いパーツやソフトウェア類もほとんどが不要になりました。これを気に、一気に処分するつもりです。

9枚のWindowsインストールメディア

ソフトウェアを入れてあった箱の中に、歴代Windowsのインストールメディアが残っていました。左から順にWindows 2000 Professional、Windows XPのHome Edition、Professional、Professional x64 Edition。Windows Vista UltimateにWindows 7 Home Premium(32bit版・64bit版)、Windows 8 Pro(32bit版・64bit版)。実に9枚もあります。導入するのに結構苦労したバージョンもあって、いろいろと思い出されます。 続きを読む “9枚のWindowsともう1枚”

One Windows

木曜日・22日の未明(日本時間)に、Microsoft社がWindows 10に関する発表会を開催しました。コードネーム「Threshold(すれっしょるど)」と呼ばれていた次期Windowsの正式名称が「Windows 10」になると発表されたのは昨年の秋のこと。Windows 8.1から、数字が「9」を通り過ぎて一足飛びに「10」に進む…という、誰もが想像しなかった意外な展開に巷が騒然としたのは、まだ記憶に新しいところです。

10月には、このWindows 10がどんな姿になるかを「チョイ見せ」する「Technical Preview」版が公開され、私も自作デスクトップ上に仮想マシンを構築してインストールしてみました。どうも今ひとつ動作は安定していなかったんですが、次のWindowsはこんな風にしたいのかな?という雰囲気は、何となくわかったような気がします。Windows 8.xでちょっと大胆に変えすぎてしまったところを見直して、インターフェースの考え方を整理しようとしているようです。とはいえ、Windows 8.1のデスクトップにスタートメニューとその他少々のおまけを付加しただけ…という風にも見えましたが。

秋のプレビュー版は、Windows 8に乗り換えずにWindows 7を使い続けている、主に企業でPCを扱う方々に対して、Windows 10ならWindows 7のデスクトップ環境の使い勝手はそのままに、今までのソフトウェアもちゃんと使えて、さらに便利なWindowsが使えるようになるんだ!ということをアピールするのが目的だったようです。しかし、それだけでは単にWindows 7に先祖返りしたのと大差ありません。特に個人ユーザー向けには、Windows 10のどこが新しいのか、Windows 7から乗り換えるに足るだけの魅力があるのかをアピールしなくてはなりません。

「Consumer Preview」(消費者向けプレビュー)だ…と言われていた今回の発表で、どんな話が出てくるのか。仕事だけではなく趣味でもWindows環境が欠かせない私ですから、非常に楽しみにしていました。

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Windows 8.1 Update

Windows 8.1 Updateのスタート画面 今回がちょうど800回目の記事となるWeekly SSK。今日のお題は「8」絡みということで行きましょう。水曜日・4月9日の未明(日本時間)に、Windows 8.1の機能を大幅にアップデートする「Windows 8.1 Update」の一般公開が始まりました。私も、早速当日の早朝に導入して使っています。

この日は、ちょうどWindows XPのMicrosoft社でのサポートが終了した日。2001年に登場して以来、実に12年半という長期にわたり現役OSであり続けたWindows XPですが、今後はメーカーによるアップデートが提供されません。セキュリティリスクも自己責任…というわけにも行かないんですよね。いちばん怖いのは、Windows XP機が悪意のあるプログラムに乗っ取られて、他の機器を攻撃するのに使われること。知らないうちに加害者になってしまう危険性があるのです。

幸い、Windows XPでしてきたいろいろなことを実現するためには、より安価な選択肢がいろいろある時代になりました。使い続けるメリットはありません。是非とも乗り換えましょう。今回のWindows 8.1 Updateも、Windows XP時代からパソコンに慣れ親しんできた皆さんの選択肢になるべく、いろいろと考えられたアップデートになっているようです。

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月額利用のOffice+α

Windows XPのマイクロソフト社でのサポートが、2014年4月9日(日本時間)で終了することが決まっているのは、皆さんもご存じかと思います。この日を過ぎると、これまでWindows Updateで提供されてきたWindows XP向けのセキュリティ更新が提供されなくなり、様々な被害を受けるリスクが高まります。

ウイルス対策ソフト会社などでは、企業向けに独自のセキュリティサポートを継続するところもあるそうですが、本体のWindowsが対応してくれなくなるわけですから、自ずと限界があります。根本的には、新しいバージョンのWindows、またはそれ以外の環境に移行していく必要があります。

もっとも、我が家の場合、常にWindows OSは最新版に乗り換えながら使ってきているので、この点については全く慌てていません。既にWindows XPが動いているのは仮想マシンの中のみになり、いつでも対応可能な状態になっています。

しかし、実はまだ看過できない問題は残っています。というのも、今回サポート終了となるのはWindows XPだけではないからです。

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1台で4台分を

妻の雑貨屋のために、店のWebサイトを作っているところです。「スマホファースト」なんてカッコをつけてはみたものの、やってみると実は結構重要な問題を抱えていることが判明しました。というのも、スマホ用サイトを作ればパソコンでも見られるはず…と思っていたんですが、そうは問屋が卸さなかったんです。 続きを読む “1台で4台分を”

64bitは要らない?

意外に遅くないWOW64

前回に続いてのベンチマークテスト…ということになりますが、今回のポイントはWindows XP Professional x64 Edition。前回のテストは、全て32bit版のWindows XP上での結果です。今回は、同じハードウェア上で32bit版と64bit(x64)版のWindows XPを走らせて、その上でのソフトウェアの動作速度を比較してみたいと思います。

本来、x64 Edition上では64bit版のソフトウェアを使わなくてはならないわけですが、いきなり全てのソフトウェアが64bit化されるわけではありません。ほとんどの場合、標準で組み込まれているWOW64(Windows 32 On Windows 64)というコンポーネントを使って、従来使っている32bit版のソフトウェアをエミュレーションで動かすことになります。

「エミュレーション」ということは、ソフトウェアでOSの仕様差を吸収しているわけで、動作は遅くなるのでは?という印象がありました。しかし、WOW64を使った32bit版Windows XP用ソフトの動作は、実際に使ってみても全然遅さを感じさせません。これを数値で比較するために、まずはCrystalMark 2004の結果を見ていただきましょう。このベンチマークソフトにはまだx64版は登場していませんから、x64 Edition上ではWOW64経由でテストするしかありません。

CrystalMark 2004
Machine32bit版64bit版 (WOW64, 対32bit版%)
ALU1690316214 (96%)
FPU1900415256 (80%)
RAM102539469 (92%)
HDD1178510786 (92%)
GDI1177712982 (110%)
D2D78597859 (100%)
OGL3504434414 (98%)
Mark112625106980 (95%)

結果はご覧の通り。FPU、RAM、HDDがやや落ち込んでいるようですが、全体的には32bit版Windows XPで実行したのとほぼ同じと言って良いでしょう。総合でもポイントの落ち込みはたったの5%。エミュレーションという言葉からは想像も付かないくらいの速さで動作しています。

Super π 1.1
Machine104万桁838万桁
32bit版39秒 (100)7分25秒 (100)
64bit版 (WOW64)39秒 (100)7分20秒 (101)

Super πも32bitプログラムなので、x64 Edition上ではWOW64の能力を見ていることになりますが、結果は32bit版Windows XPとほとんど変わりませんでした。どうやら、WOW64での32bit版ソフトの動作は、32bit版Windows XPでの速度とほぼ変わらないか、違ったとしても気にはならないレベルである…といえそうです。64bitモードでの動作がエミュレーションを高速に行えるくらい十分に速いのか、それとも変換自体が非常に簡単なのか…後者のような気がしますが、この結果だけでは明言はできないところです。

全然速くないx64専用ソフト

64bit版Windows XP(そしてもちろん64bit CPU)の潜在能力を最大限に発揮させるためには、x64専用に作られたソフトウェアが必要です。まだ種類は全然揃っていない状況ですが、ちょっと試してみることにしました。

Windows Media Encoder 9
Machine320 * 240 pixels,
272kbps, 15 sec.
1280 * 720 pixels,
5.0Mbps, 180 sec.
32bit版13秒 (100)25分08秒 (100)
64bit版 (x64)13秒 (100)25分33秒 (98)

Windows Media形式の動画を作るWindows Media Encoderは、64bit版Windows XPに32bit版をインストールすることができず、「x64専用版」が用意されています。まずは、これで比較してみました。前回と同じ15秒間のWeb公開向けの小さな映像で試したところ、どちらも全く13秒で終了。サイズが小さすぎて競争にならない?と思い、3分間の映像をハイビジョンクラスの動画に拡大する…という、思いっきり重い処理にしてみました。ところが、これでもほとんど時間に差がありません。何だか拍子抜けしてしまいました。

Shade 8.5 Professional
Machine160 * 120 pixels1024 * 768 pixels
32bit版1分51秒 (100)45分25秒 (100)
64bit版 (WOW64)1分50秒 (101)45分21秒 (100)
64bit版 (x64)2分00秒 (93)45分17秒 (100)

3次元CG作成ソフト・Shade 8.5の場合、インストール手順の関係で、64bit版Windows XP上には32bit版とx64版の両方がインストールされます。これらを使ってのスピード比較もしてみることにしました。ところが、こちらも合計3パターンでほぼ処理時間は同じ。メモリを大量に消費するので差が出てくるのでは?と踏んでいたXGAサイズの画像レンダリングでも、それは変わりませんでした。

今回の結果からは、少なくともこの2本のソフトではx64専用ソフトによる作業の高速化は期待できない…と判断せざるを得ません。期待していただけにかなり残念です。もしかすると、私の知らないどこかに特殊な設定があって、それを変更しないと実力が発揮できないのかも?と思ったりもしますが、そうだとすればやっぱり困った仕様です。

64bitはまだ早いのかも

64bit版のソフトが高速に動作すると考えられる根拠は、大きく二つあります。一つは、32bitと比べると2倍の桁数を一気に演算できること。しかし、これは実際に64bitをフルに使い切るプログラミングとの組み合わせが必須になります。パソコン内部で64bitの数値が直接必要になることは、実はそれほど多くありません。32bit×2、16bit×4のような形で組み合わせれば能力を生かせるわけですが、これはこれでプログラムにちょっと工夫が必要です。上手く処理しないと、逆に速度を下げる要因になるかも知れません。

もう一つの根拠は、取り扱えるメモリ領域の上限が増えて、大量にメモリを必要とするソフトウェアでは有利になること。しかし、これも実際に大量のメモリが必要な事態にならなくては意味がありませんし、それ以前に大量のメモリ(具体的には4GBを超える容量)を搭載しなくてはなりません。4GB超のメモリが搭載できるシステムも、まだそれほど多くありません。実際にこの利点が生きるのは、サーバー向けなどの特殊な用途になるようです。

これらを考え合わせると、64bit環境はまだその潜在能力を十分に発揮できていない…と言えそうです。それでも、WOW64は十分なパフォーマンスを持っていますから、32bit版Windows XPの代わりにx64版を使ってみる…というのも、ドライバさえ整っていればあり得る選択ですね。次世代Windowsとして来年初頭には登場するWindows Vistaでは、最初から64bit版が提供されます。今のうちにちょっと苦労しておいて、Vista時代に備えておくのも良いかも知れません。

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似て非なるXP

微妙で決定的な差

ようやくまともに使えるようになった、自作タワーPCの2つのWindows XP。前にも何度か触れているとおり、デスクトップを見ているだけでは全然区別が付きません。もちろん、少し細かく見ていけば違いも見えてきます。例えば、x64版にはInternet Explorerが32bit版と64bit版の2種類入っています。しかも括弧書きの注釈が付いているのは64bit版の方。実は、これは結構重要なポイントなんですが、この辺りについてはちょっと後回しにさせてください。

x64版付属の2つのInternet ExplorerでSSK Worldのトップページを表示させてみましょう。一番上にブラウザやOSの情報が表示されていることには、皆さん既にお気づきかと思います。見ると、それぞれこんな風になっています:

32bit版↓
HTTP_USER_AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.2; WOW64; SV1)

64bit版↓
HTTP_USER_AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.2; Win64; x64; SV1)

参考:32bit版Windows XPでの表示↓
HTTP_USER_AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)

それぞれを細かく見ていくとこれはこれで結構面白い(「x64」や「WOW64」の文字も見えますね)んですが、注目したいのはOSのバージョン番号。64bit版のWindows XPは、内部的には「Windows NT 5.2」であることがわかります。つまり、「Windows NT 5.1」である32bit版のWindows XPとは別のバージョンとして扱われていることになりますね。

これには、Windows XP Professional x64 Editionが、32bit版のWindows XPではなくx64版のWindows Server 2003(これも内部バージョンは「Windows NT 5.2」)をベースにして作られた…という事情があるようです。この方がOS自体の安定性では有利そうですが、アプリケーションのインストーラが厳密にバージョン番号をチェックしていたりすると、実際にはx64版でも動作するかも知れないのにインストールで弾かれてしまう…という事態になります。この点を修正するだけで、動作するソフトはもう少し増えるのかも知れません。

ソフトを生かすためのハード

私の手元には、x64専用版が提供されている市販のソフトウェアが2本あります。どちらも、ギガバイト単位の大量のデータをメモリ上に展開することで高速化が期待できるソフトで、64bit化の恩恵を最も受けられる分野といえます。一つは、前から愛用していて、先にも話題に出している3次元CG作成ソフトのShade 8 Professional。x64版は、Webサイトからのダウンロードで提供されています。32bit版をインストールした後でないと使えない、20MB弱のファイルです。共通で使えるリソースは共有しているのかも知れませんね。

もう一つは、今回新たに購入した音楽作成ソフトのSONAR 5 Producer Edition。こちらは、1枚のDVD-ROMに32bit版と64bit版が収められています。パソコンの処理能力が許す限り、いくつでも無制限にオーディオトラックやソフトウェア音源を駆使しての音楽作りが可能です。また、マスタリングを従来のステレオ2チャンネルだけではなく、サラウンド情報を含んだ5.1チャンネルなどの形式で行うことも可能です。ただし、その能力を十分に発揮するためには、それなりのオーディオインターフェースが必要になります。例えば5.1チャンネルで出力するためには6系統の出力が必要…ということになりますからね。

EDIROL UA-101・前面
このために私が導入したのは、EDIROL(ローランドのPC向け音楽機器のブランドですね)のUA-101。x64対応でなくてはならない…ということで、もともと選択肢は極端に絞られていました。USB2.0接続で、最高192kHz/24bitでの録音・再生、最大10チャンネルの入出力(このときは最高96kHz/24bitになりますが)に対応します。

EDIROL UA-101・背面

前面にも、背面にも大量の端子が並んでいます。音声入出力以外にMIDI IN/OUT端子もありますから、キーボードからの演奏データ入力も、外部音源のコントロールもこの箱一つで出来てしまいます。SONARも含めて、PCベースのパーソナルな音楽制作環境としてはほぼ最高レベルと言っていいでしょう。個人の趣味レベルにはオーバースペックでは?という話もあるわけですが…。

自分だけ対応してもダメ

…ちょっと話が横道に逸れましたが、とりあえず両ソフトを両方のWindows XPにインストールして動かしています。x64版の方がパフォーマンスが高いのかどうかは、まだはっきりしません。おそらく、現状ではまだ差が出るほどの負荷を掛けていないからではないでしょうか。

気になるのは、ShadeもSONARも32bit版では使えるのにx64版では使えない機能があること。「機能限定版」とまで言うとちょっと言い過ぎかも知れませんが、結構大事なところが抜けているように感じます。例えば、ShadeでもSONARでもx64版ではQuicktime形式へのエクスポートができません。SONARでは、32bit版でしか使えないソフトウェア音源やエフェクターがありますし、売りの一つである高性能のディザリングエンジン(録音結果をミックスして落とし込むときに、極力元の情報を織り込みます)もx64版では使えません。

ただ、これにも仕方ない面があります。x64版で非対応になっている機能は、他社のソフトウェアを利用しなくてはならない機能ばかり。例えば、Quicktime形式で出力できないのは、Apple社がまだx64用の書き込みモジュールを提供していないからのようです。この場合、知的財産権の問題もあり、勝手に移植するわけには行きませんから、それぞれのモジュールが対応するのを待つしかありません。

こうした事情は、最初に出てきた64bit版のInternet Explorerでも見られます。プラグインモジュール(ActiveXコントロール)も64bit版のものが必要になり、現状では未対応のものが結構あります。致命的なのは、インタラクティブなページを実現する方法の一つとして事実上の業界標準となっているFlashがx64に未対応であること。せっかくの数少ない64bit版ソフトなのに、堂々と標準に据えられない(特に指定しなければ32bit版が立ち上がります)のはこの辺りが理由なのでしょう。

高機能なCPUを生かすためには対応したOSが必要。しかし、そのOSを生かすためには対応するアプリケーションソフトが必要…結局のところ、「パソコンはソフトあってこそ」ということを改めて認識しています。使えない周辺機器があることもありますし、現状では私の家でもx64版のWindows XPが立ち上がる機会はそれほど多くないかも知れません。もし「32bit版ではできない」という作業があれば、状況は変わってくるはずなんですが。

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ハードな障害続き

実はセットアップ前から

前回までで、何とか2つのWindows XPがインストールできました。実は、インストールする前にもう一つ重大な問題が発生していたんですが、つい書き忘れていました。あまりのショックに軽い記憶喪失状態だったんでしょうか?(笑)。…ともかく、まずはそのことに触れておきましょう。

最近のマザーボードの例に漏れず、GA-K8N Ultra-9にも親切な日本語の組み立て説明書が付いていて、組み立ては実に順調に進みました。実際のところは組み立てにもずいぶん慣れてきたので、英文の仕様書(さすがに中文オンリーは勘弁してください)さえあれば大丈夫なんですが、ケアレスミスがトラブルにつながりますから、あくまでも慎重に進めます。乾燥しやすい季節ですから、静電気には特に気をつけて。

イメージ通りにきれいに組み上がり、次はいよいよ電源を入れて…ということなんですが、電源ボタンを押しても電源が入りません。電源スイッチ回りの接続を間違えたか?と思って確認してみましたが、全てOK。この辺りに問題がないとなると…残ったのはハードウェア自体に問題がある可能性でしょうか。新しくなった部分で、「電源が入らない」という現象に当てはまりそうなのはマザーボードくらいのものです。もしかしてこれって初期不良?

またも電源換装

…と、そこまで考えが回ったところでふと我に返り、本体に接続されているデバイスを一つずつ外して試してみることにしました。すると、ハードディスクを4個とも外し、DVDドライブも外したところで電源が入りました。どうやら電源の容量不足で保護回路が働いたようです。今使っている電源だって、決して小さくはないんですが…それだけ「電気食い」のパーツが集まったのでしょうか。

恵安「静か」550W

今回はどうしてもこの機器構成にこだわりたかったので、電源をより大容量のものに換えてみました。買ってきたのが恵安のその名も「静か」と銘打った電源。120mmの底面大型吸気ファンを細かくコントロールして静穏性にこだわっているようですが、総合出力も550Wとかなり大容量。特に最も重要な+12Vが2系統で20A+18Aあるところが頼もしい仕様です。しかも価格は8千円台ですからね。お得感たっぷりです。

電源をこれに換装してみたところ、フル装備の構成でも無事に起動するようになりました。やっぱり電源の問題だったようです。それにしても、パソコンの消費電力はかなり深刻な問題になりつつあります。常に電源容量をフルに使っているわけではありませんが、550Wともなるともうちょっとした電熱機器よりも大きいレベルですからね。

呉越同舟はダメ?

無事に電源も入り、OSのインストールも済み…というところまで来ましたが、どうも動作が安定しません。32bit版、64bit版とも、30分以内に画面が真っ青になって再起動してしまいます。私のデスクトップ機の使い方では、かなり長時間連続してフルパワーで動かす可能性がありますから、安定した動作は必須条件。こんな状況は論外です。

最初は、例の64bit版用ベータ版ドライバのせい?と思いましたが、両方のWindowsで似たようなトラブルが発生していますから、問題はWindowsに起因するものではないはずです。となると、やっぱり残る可能性はハードウェアの相性。レッツノートのときに使った方法で停止エラーの内容を見ていくと、どうやら原因はあのときと同様メモリにあるようです。

このPCには、合計で3GBのメモリを積んでいました。元からあった512MB2枚はSAMSUNG社製のメモリ。後で1GB2枚を買い足したときにも同じSAMSUNG製のものが欲しかったんですが、品切れだったのでMicron社製のものを買ってきました。どちらも半導体メモリでは業界のトップメーカー。大丈夫だろう…と思っていました。ところが、BIOS設定のメニューを見てみると、どちらも400MHz動作のDDR SDRAMのはずなのに、マザーボードの自動設定では333MHz動作が選択されています。これはちょっと変です。試しに設定を手動で400MHzに変更したら、今度は起動すらままなりません。どうやら、本当に400MHzでは動けないようです。

試しに、Micron製の2GB分だけを付けた状態で起動したら、BIOSの自動設定が400MHz動作に切り替わりました。起動にも無事成功。違うメーカーのチップを混在させたことで、微妙なタイミングの差が速度を下げてしまったのかも知れません。DDR SDRAMのDIMMは一応世界統一規格なので、こんなことでは困るんですが。

ところで、「呉越同舟(ごえつどうしゅう)」というのは中国の故事に基づいた言葉で、仲の悪い両者が同じ場所にいることを指します。さらに転じて、仲の悪い同士が協力することも指しますが、どうもメモリのライバル同士は協力し合えなかったようです。

もう一つの呉越同舟

メモリを2GBに減らした後も、残念ながら動作の安定性はあまり変わりませんでした。相変わらず、しばらく使っているうちに勝手に再起動されます。どうやら、他にも不安定の原因を探さなくてはならないようです。

実は、今回の計画の最初からずっと気になっていた「呉越同舟」関係がもう一つありました。それは、マザーボードとビデオカード。マザーボードのチップセット・nForce4 Ultraを作っているnVIDIA社は、ビデオカード用のプロセッサでもトップメーカーです。そして、これと組み合わせるビデオカードに採用されているのは、nVIDIAの最大のライバル・ATI社のRADEON X700 Pro。細かく決められた規格の中で作られるパーツのはずなんですが、それでもいかにも喧嘩しそうな組み合わせだと思いませんか?

PowerColor X700 Pro改(左)とGV-NX66T256D

そこで、ビデオカードも換えてみることにしました。今回は、「nVIDIA製のプロセッサを使っているもの」という基準で選択。さらに、マザーボードの製造元と同じGIGABYTE社の製品から選んでみました。それが、このGV-NX66T256D(写真右)。RADEON X700 Proと近いレベルに相当するGeForce 6600GTを使い、ヒートパイプ付きのファンレスヒートシンクを装備したモデルです。実は、液晶ディスプレイなどに使うデジタル出力のDVI端子を2系統持っているのも隠れたポイントかも。

正直なところあまり自信はなかったんですが、やってみるとビデオカード交換の効果は劇的なものでした。一晩中動かしておいても、ちゃんとパワーセーブ状態からデスクトップを復元することが出来るようになりました。さすがに同じメーカーの製品ですから、発売前に動作確認もしているのでしょうね。

相性問題なんて過去の話だと思っていたんですが、実はまだまだパーツ間の相性問題は健在であることを、今回は嫌と言うほど思い知りました。こうした情報は、メーカーが開示している場合もありますが、多くはインターネット上で各ユーザーが公開していたり、場合によっては掲示板で議論されていたりします。失敗しない買い物のために、事前に各方面から情報を収集しておくべきですね。

続きを読む “ハードな障害続き”