ケータイ、おサイフになる

ケータイのインターフェース

しばらくご無沙汰でしたが、今回もP902iの超てんこ盛りな機能の中からのお話です。携帯電話に限らず、私たちが使う道具について語るときに、切っても切れないのがインターフェースの話。こうしてカタカナ語で言うと何だか煙に巻いているようになってしまうんですが、要するにあるモノとそれ以外をつないでいるものは全て「インターフェース」です。

携帯電話で見てみると、まず忘れてはならないのは電話としての根幹になる受話スピーカと送話マイク。電話番号をダイヤルしたり、通話の制御を指示したりするためのボタン類は、最近ではむしろメール打ちやゲームなどの操作のための出番の方が多いかも知れません。そして、操作結果を表示するための画面。最近は、着信音やネット上のコンテンツのために専用の高性能なスピーカーが付いた端末も増えています。これらはみんなケータイと人とをつなぐインターフェースですよね。カメラもメールへの画像添付やテレビ電話に使えばここに含まれますが、ちょっと違った使い方もあるので、分類は微妙なところです。

一方で、ケータイと他の機械をつなぐためのインターフェースもあります。一番大事なのは基地局との間で電波を送受信するアンテナで、とりあえずこれさえあればたいていのことには困りませんが、最近のケータイは他にもいろいろなインターフェースを備えています。メモリーカードのスロットもそうですし、以前に取り上げた赤外線通信やBluetoothもそうですね。そして、現在最先端かつ多くの人が利用しているのが、今回取り上げる非接触式ICカードです。

P902iの「おサイフ」はここ

おサイフの仕組み

非接触式ICカードについては、以前に他のコーナーで触れたことがありますが、その名の通り金属端子等の接触なしでデータ通信が可能なICカードです。基本的には読み書き機に押し当てて使うことになります。P902iの場合は、本体側ヒンジ近くの底面にICカード機能のチップが内蔵されています。この部分にだけ衝撃や傷への対策に透明のゴムが貼り付けられているのは気が利いていますね。

内蔵されているのは、ソニーが開発したFeliCa(ふぇりか)という非接触式ICカードです。FelicaはJR東日本のSuicaなどにも採用されているシステムで、もともと1枚のFeliCaの中に多数のサービスが相乗りできる構造を持たせてありました。1枚でいろいろ使える便利なカードが作れるわけですが、今回のように「1枚」に相乗りせざるを得ない場合にも対応できる、良くできた仕組みです。

初めてFeliCaが内蔵されたNTTドコモの製品では、電子マネーのEdy(えでぃ)が使えるようにあらかじめセットアップされていました。「おサイフケータイ」という愛称は、このEdyと、既に対応が決まっていたSuicaを意識したんでしょうね。一番びっくりしたのは、後発のauボーダフォンも、この「おサイフケータイ」の言葉をそのまま使ってキャンペーンを展開したこと。QRコードを巡るバラバラの対応からは想像も付かない連係プレーです。

ICカードアプリ一覧

おサイフに入るのは小銭だけじゃない

NTTドコモの端末では、FeliCaサービスの追加はiアプリで行う仕組みになっています。この方法なら、後からユーザーが簡単にサービスを追加できますよね。P902iのメニューの中には、現在インストールされているFeliCaサービスの一覧が見られる画面がありますが、ここでサービス名を選ぶと、対応するiアプリが起動します。

現在、Edy以外に3種類のFeliCa用iアプリを入れています。いずれも認証機能を活用するサービスです。TOHOシネマズの座席予約サービス「vit」では、おサイフケータイで予約すると、店頭の発券用端末ではケータイをかざすだけ…という、実に快適なサービスが受けられます。シネマイレージのサービスまでは統合されていないのがちょっと残念ですが、複数座席を予約したときの処理を考えると、統合してもあまりメリットはないのかも知れません。あと、予約したチケットの決済にEdyが使えないのも何だかちぐはぐな印象を受けますね。金額的には十分守備範囲なんですが。

最初は「おサイフケータイ」という言葉から電子マネーのイメージばかり強く受けたんですが、考えてみると定期券も、レンタルDVD店やカラオケボックスの会員証も、映画のチケットも、みんな財布の中に入れるものですよね。これらが一つの携帯電話の中に入ることで、確かに「おサイフケータイ」に向かっているのかな?という気がします。ただ、彼らが真におサイフケータイになれるのは、「リアルおサイフ」を別に持ち歩かなくても済むようになったときだと思いますけどね。

Edyアプリのメイン画面

つながっている良さ、切り離されている良さ

Edyのiアプリを起動すると、爽やかな水色の画面が出てきます。この画面から、Edyの現在の残額や利用履歴を確認できるほか、あらかじめ登録しておいたクレジットカードからのチャージ(入金)もできます。普通のカード型のEdyだけでは、現在の残額を確認することすら出来ません。広い表示画面と通信回線を持つ携帯電話に統合されることで、使い勝手は確実に変わったと言えるでしょう。

ただ、電子マネーは個人情報をやりとりしないお手軽な使い勝手が魅力のはずなのに、それをクレジットカードを使ってネット経由でチャージ…という考え方にはどうも馴染めません。私は、Edyアプリにはクレジットカードを登録せずに、サークルKやサンクスの店頭でチャージしています。現金を使わずに買い物するためにレジに現金を持って行くのも、これまた変な感覚ではありますが、これはもう落としどころをどこにするかの問題ですね。

ところで、FeliCaへのサービスの追加にはiアプリのインストールが必要ですが、実際にFeliCaを使うときにはiアプリを起動する必要はありません。何も考えずに読み書き機にかざすだけ。コントロールは全て読み書き機の側から行われます。普通の非接触式ICカードを使うときのことを考えたら、これは全く当たり前のことなんですが、これまではケータイで何かするときにはケータイを操作する…というのが当たり前でしたから、ちょっと意表を突かれた感じです。

普通の非接触式ICカードでは、自身の電源も読み書き機から発せられる電波から得ますが、おサイフケータイでもこれは同じ。実はアプリ起動どころか電源が入っている必要すらありません。1月の東京でこれは実験済み。…というより、P902iのバッテリーが切れてしまい、小銭入れもホテルに置いてきてしまった状況で、どうしてもコンビニで買いたいものがあったので、サンクスを探して乗り切ったんですが。

おサイフケータイのシステムは、携帯電話と非接触式ICカードのそれぞれの利点を上手くつないだサービスになっていますね。P902iを購入する前に思っていたよりも、ずいぶん活用しているような気がします。あとは、これで地元・遠州鉄道の電車やバス、さらにはタクシーにも乗れてしまえばほぼ完璧なんですけどね…まあ、残念ながら実現してもこれは全国初にはならないんですが。既に愛媛県松山市で伊予鉄道が実現しています。

タイトルからお察しの通り、「おサイフケータイ」のお話です。一見実に安易なネーミングに見える「おサイフケータイ」ですが、実は内に強い決意を秘めた名前のような気もします…過大評価でしょうか?

おサイフケータイの基幹部分を供給するフェリカネットワークス社は、FeliCaを作ったソニーNTTドコモ、そしてSuicaのJR東日本の出資で出来ている会社です。NTTドコモがケータイにSuicaを内蔵させるために作った会社…とも言えるかも知れません。

その「モバイルSuica」は今年になってついに実現したわけですが、FeliCa内蔵端末でも使えないものがあったり、専用のクレジットカードが別に必要だったり…と、利用へのハードルはずいぶん高くなっています。「改札をスムーズに通れるようにするため」ということで、JR東日本がずいぶん厳しい条件を設定したらしいですね。気持ちはわからなくもないのですが、結果的にモバイルSuicaはあまり使われていないようで、せっかくの鳴り物入りの新サービスが見かけ倒しになっている…という印象は拭えません。もうちょっと何とかならなかったのでしょうか?



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