当たり前を掛け合わせる

今週は、関東地方への出張の帰りに、東京駅の八重洲中央口で面白い展示をしているのを見かけました。松下電器の家電製品のスケルトンモデルです。中身に全ての部品が入っているわけではなく、厳密な意味での「スケルトンモデル」とはちょっと違う気もしますが、普段は全然意識しない、家電製品内部の工夫をアピールする展示になっていました。

「お掃除ロボット」内蔵エアコン

一番印象深く見たのがエアコンの展示。この製品には、使うたびにフィルターを自動的に掃除してしまう「新・フィルターお掃除ロボット」が住み着いています。フィルターの汚れは冷暖房の利きや消費電力に影響しますから、定期的な掃除が大事なんですが、ついつい面倒で放置しがちですよね。これなら常に最高の状態で、エアコンの能力が発揮できます。

透明なカバーの中で、お掃除ロボットが左右に動くのを見ることが出来ます。フィルターや部屋の空気の汚れ具合を見ながら、掃除をどのくらい念入りにするのかを決めるのだとか。このとき、お掃除ロボットのユニットは全体が青く光ります。光らせても機能には全然関係が無さそうですが、デモとしての楽しい演出ですね。


ヒートポンプななめドラム洗濯乾燥機

これに比べるとかなり印象は薄くなりますが、こちらも画期的な製品といえそうなのが、ヒートポンプ乾燥の洗濯乾燥機。独特のスタイルの「ななめドラム」だけでも十分変わっていると思うんですが、ヒートポンプ(熱交換機)採用は世界初だとか。従来のヒーターで温めた熱風を送り込む乾燥機とは違い、ヒートポンプで除湿した空気を送り込むことで乾燥を行います。

ヒーター式乾燥の洗濯乾燥機では、冷却のために乾燥の工程でも大量の水を使う(場合によっては洗濯工程よりも消費水量が多い)んですが、ヒートポンプ式なら水は要りません。しかも、洗濯物がヒーター式ほど高温にならずに済むので、傷みやすい毛などの製品も乾燥できるのだとか。「ドラムの中で自然干し乾燥」と銘打っています。


ここに並べた両製品には、共通していることがあります。それは、既にある製品の技術を他の製品に取り込んで、新しい製品に仕立て上げていること。エアコンのフィルターから汚れをブラシで拭き取り、ダクトに吸い込んで屋外に排出する…というお掃除ロボットの動作は、まさに掃除機そのものですよね。洗濯乾燥機に内蔵されたヒートポンプは、エアコンや冷蔵庫には欠かせないものです。単独では当たり前になっている製品の技術を掛け合わせて、新発明と呼ばれるような革新的なものを生み出しています。

松下電器は「知財立社」をスローガンに特許取得を積極的に進めている会社で、特許の保有数は来年度中にも10万件に達し世界最多クラスになるそうです。「新・フィルターお掃除ロボット」関連だけでも92件の特許が出願中なのだとか。そんな戦略がときには思わぬところにも顔を出してびっくりするわけですが、実は「特許」というのも常人には思いつかないような特別なものばかりなのではなく、こうした掛け合わせが生み出していることも結構あるのかも知れません。

全く新しい非凡なものではなくても、今持っているものを組み合わせることが力になる…これは、とても大事な考え方だと思います。平凡な私たちの中にも、もしかするととんでもないチャンスが眠っているのかも知れません。それを見逃してしまわないように、普段からいろいろなものをよく観察して、頭の回転は柔軟にしておきたいものです。


レッツノートのカラー天板

この一連の展示とは別なんですが、八重洲中央口にはこんなものもあります。SSK Worldでは既にお馴染みのレッツノートですね。ネット直販サイト「マイレッツ倶楽部」限定のカラー天板の現物が展示されています。ここに来れば、画面では確認できない色合いが確認できますね。

先月発表になったレッツノートの今年の夏モデル。今回は最も大型のCF-Y5が大幅モデルチェンジで生まれ変わりました。デュアルコアCPUのIntel Core Duoを内蔵し、他の3機種とは一線を画す処理能力を手に入れたCF-Y5ですが、それ以上に強烈なインパクトを残したのが「キーボード全面防滴仕様」。キーボードの上に水をこぼしても、底面の穴から排出し、内部には水は一切入らない構造になっています。これなら、万が一レッツノートを枕にしてよだれを垂らしてしまったりしても大丈夫です(笑)。

もともと、レッツノートでは「軽量・長時間駆動」に加えて「タフさ」を強く意識した製品開発が進められていますが、昨年辺りからそれがより強く意識されています。もちろんユーザーへのリサーチ結果に基づいた展開なのでしょうけど、既に松下電器には過酷な環境に耐える業務用ノートパソコン・TOUGHBOOKの実績があります。耐衝撃性能も、防水性能も、TOUGHBOOKで世界に認められてきた技術です。他の製品で培った技術を活用する…という点では、CF-Y5の例も先の家電製品とちょっと似ていますね。

東京駅八重洲中央口に展示されている、松下電器の家電製品の展示を見て、考えたことを綴ってみました。当たり前のもの同士を掛け合わせて、当たり前ではないものが生まれる…裏を返すと、当たり前でないものが生まれるまでは、そこにあるのは当たり前のものばかりだとも言えるわけで、一番大事なのはそれらを組み合わせる発想だ…ということなのかも知れません。

この展示企画「発明!BBステーション」は、5月21日(日)まで東京の他に大阪・梅田でも開催されています。お近くの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。ちなみに、BBはIT業界で見慣れた「ブロードバンド」ではなく、「ブラックボックス」の略のようです。何だかワクワクする響きですね。中身が見えなくても、わからなくても使えるブラックボックスであることが家電の最も重要な点だと思っています。その点、パソコンはどこまで行ってもブラックボックスになれない道具ですよね…もちろん、そこが魅力にもなり得るんですが。

コメントを残す