ウィルコムが先月に発表した新しいスマートフォン・HYBRID W-ZERO3が、年明けの1月28日に発売されることが決まったそうです。一見普通のスライド型携帯電話…という筐体にWindows Mobile 6.5がインストールされた端末です。ウィルコム伝統のPHS回線での音声通話・データ通信の他に、NTTドコモのFOMA HIGH-SPEED回線を借りたWILLCOM CORE 3Gによるデータ通信もできるところが「HYBRID」…ということのようです。
この製品の魅力を決定する重要な要素は、どんな料金プランが用意されるのか?という点だと思っていたわけですが、料金プランについてはこの機種専用の「新ウィルコム定額プランG」というものが用意されます。HYBRID W-ZERO3では、新ウィルコム定額プランG以外のプランは契約できないことになるようです。
その「新ウィルコム定額プランG」なんですが、基本料金は1,450円で、従来の「新ウィルコム定額プラン」の半額。サービスの内容としては、ウィルコム同士なら24時間話し放題、PHS回線によるパケット通信は0.105円/パケットで上限2,800円…という、「新ウィルコム定額プラン」とほぼ同様のものになっています。注目の3G回線によるデータ通信は、0.105円/パケットで最大5,250円。PHS回線でのデータ通信共々、基本料金は無料で、料金はそれぞれを使用した分を合算して請求されるようです。
携帯電話のパケット定額制と比べると、この上限額がフルブラウザの利用(といっても、Windows Mobileですから標準ブラウザのInternet ExplorerやOperaなどがフルブラウザなんですが)でも、パソコン等と接続したモバイルルーターとしての利用でも変わらない…と考えれば、3Gデータ通信の料金としては安めの設定かも知れません。
しかし、これではPHS回線の通信が一緒に載っているメリットが全く感じられません。PHS回線だと上限額に達する通信量はわずか26,667パケット(約3.3MB)、3Gの上限額にもたった50,000パケット(約6.1MB)で達してしまいますから、ちょっと本気で使おうとすれば、実質的には上限額での定額。両方のデータ通信回線を使い分けようとすると、月々8,050円の出費を覚悟しなくてはなりません。
ウィルコムのWebサイトでの紹介でも、PHS回線でのデータ通信については小さく書かれているだけ。このプラン設定を見ると、どうもウィルコムではPHS回線は音声通話用…と割り切っているようです。AIR-EDGEのデータ通信としてのポテンシャルを評価していた私にとっては、これでは「単なる足し算」以下。一気に期待がしぼんだ感があります。
新ウィルコム定額プランGの紹介サイトで、説明書きの小さな注釈の文字を読んでいくと、もう一つ衝撃的な文言に突き当たります。契約から3年以内に解約したり、他の料金プランに切り替えたりすると、あらかじめ決まっている年間契約解除料の他に、さらに5,775円の費用がかかるのだとか。2年縛りどころか「3年縛り」と呼んでいい内容です。
経営面でも厳しい状況にある中で、ユーザーをなるべく長期間囲い込みたいウィルコムの思いはわからなくもありませんが、まだまだ進化を続けている無線通信の世界を考えると、3年間同じ環境に縛り付ける…というのはいかにも長すぎます。
自らの持つ次世代技術・WILLCOM CORE XGPへのアップグレードパスは用意するのでしょうけど、それにしても3年縛りはマイナスイメージになりそうです。そのWILLCOM CORE XGPも、果たして実用サービスが展開できるのか疑問になってきましたし…ウィルコムという会社の、自ら基盤設備を持つ電気通信事業者としての存在価値が揺らいでいるのを感じます。応援はしたいんですが、不安たっぷりです。
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