なぜ落合監督がクビなのか

日本プロ野球のペナントレースが、ようやく最終盤です。パ・リーグは既に福岡ソフトバンクホークスがぶっちぎりのリーグ優勝を決め、あとはクライマックスシリーズの顔ぶれを決めるだけ。盤石に見えるホークスの不安材料と言えば、リーグ戦上位3チームによるプレーオフというこのシステムをどうも苦手にしているらしいことくらいです。
一方のセ・リーグは、中日ドラゴンズがリーグ優勝まであと一歩のところまで来ています。今日も昨日に続いて読売ジャイアンツに敗れ、ちょっと足踏み状態。ひょっとすると最後までこのまま行ってしまうのでは?と不安も覚えたりしますが、さすがにもうマジック1ですし、どこかで決めてくれると信じています。
そのドラゴンズを率いる落合博満監督は、今季までで切れる契約を更新しないことが決まっています。監督の方から「一身上の都合」なんて話があったわけでもなさそうで、どちらかといえば球団側が契約を更新したくなかったようですね。もうちょっと平たく言えば、落合監督は球団からクビを宣告されたわけです。


落合監督は、2003年に就任してから、今年で8度目のペナントレースを戦ってきたわけですが、過去7期で「日本一」1回、リーグ優勝は3回。そしてリーグ2位は3回、3位が1回。Bクラスだったことは1度もありません。
優勝できる強いチームを作っていくことが監督の仕事だとするならば、これだけ長い期間仕事を全うし続けている例は、他には読売ジャイアンツのV9時代くらいしか思い浮かびません。まあ、あの球団にはそもそもBクラス転落自体が数えるほどしかありませんし、それは監督解任に直結しかねないわけですが。栄光の巨人軍も大変です。
一方で、落合監督の采配についての周囲の評価は、肯定的なものばかりではありません。よく言われるのが「ファンサービスを考えない」ということ。試合後のインタビューでは、ほとんど語らないことで有名です。選手の怪我など体調に関する情報も、徹底的にガードします。マスコミを通して様々な情報を知ることが多いファンからすれば、もう少しまともに対応してくれても良いのでは?と思うわけですが、情報戦も重要な要素であり、仕方ない気もします。
リーグ優勝してクライマックスシリーズ、日本シリーズと進出していくことは、数多くの試合に勝っていくという点では最大のファンサービスでもあります。ときには奇抜な「オレ流采配」が取り上げられたりもしますが、実は勝負に徹した冷静沈着な舵取りこそがポイントであり、野球通の方々には結構受けが良かったりします。53年ぶりの日本一のときに、完全試合達成直前の9回に継投して話題となったあの件も、勝つための采配としては支持する人が意外に多かった記憶があります。
何かと物議を醸す発言が多い人でもありますが、自らの監督業も、選手たちのプレーも、徹底的にプロ意識を持って捉えていることが、一貫して伝わってきました。私にとって、落合政権の8年間は、監督の言動も含めて、ドラゴンズの動き全てを見ているのが楽しい日々でした。どうしてクビになってしまうのか、私には理解できません。


ドラゴンズ球団側は、落合氏との契約を更新しない理由として、「新しい風を入れたい」という趣旨の発言をしているようですが、そもそも彼を招聘したこと自体が究極の「新しい風」だっただけでなく、そこに求めていたであろう緊張感は未だ失われていないと感じます。球団側がその緊張感に耐えきれなくなったのが、解任の真相なのでは?と思ったりします。
だいたい、そこに入れる「新しい風」たる新監督が、ドラゴンズ生え抜きの往年の名選手で、10数年前に監督をしたこともある高木守道氏というのは、何とも違和感があります。同じく生え抜きの名選手であった立浪和義氏に引き継ぐためのショートリリーフなんて話もありますが、いずれにしても緊張感という意味では緩む方向性しか見えてきません。OBの登用は地域球団の地元密着を重視する姿勢とも取れるわけですが、そもそも落合氏だってドラゴンズOBではあるわけで、考えれば考えるほど表向きには不可解な一方で、裏側の事情は見えてきます。
ファンが一番見たいのはやっぱりチームの優勝。地元にゆかりのある人たちが活躍してくれるかどうかは、その次に満たせると嬉しいかも…という条件です。どうもマイナス方向に流れているように見える状況を見ると、このままドラゴンズの応援を続けるのかどうか…そんなことまで考えてしまいます。


これだけの実績を残し続けてクビを切られる監督を、他球団が放っておくわけがありません。今季のクライマックスシリーズ進出が厳しくなった阪神タイガースが、真弓明信監督を解雇して落合氏を迎えるのではないか?なんて話もありますね。実現すれば、星野仙一氏を招聘したとき以上のインパクトがあります。
落合氏が選手時代に所属していたことがある北海道日本ハムファイターズも、梨田昌孝監督の今季限りでの退任が決まっていますから、落合氏を呼べる立場にあります。他にも、今季不振だったチームでは監督交代論が出てくるでしょう。落合氏が来季どこか他球団のユニフォームを着ている可能性は十分あると思っています。
私は、落合氏には楽天イーグルスの監督をやってもらうと面白いかも?と思っています。結果に非常にシビアでドライな球団経営陣の方針とも、意外に合うかも知れません。問題は、三木谷会長が三顧の礼で迎えた星野監督のクビを簡単には切れないであろうことなんですが…。でも、契約の中途破棄なんて当たり前の球団ですし、今のところは続投らしいと聞いてはいますが、成績を理由にバッサリ切ってしまっても、あまり驚きはありません。ひょっとしたら、ひょっとするかも。

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