先日発表された新しいレッツノート・CF-AX2。一見普通のUltrabookに見える筐体から、液晶画面が360度開いてタブレットPC形態に変形してしまう…という、ありそうでなかなかなかったギミックが特徴的ですね。IT系の各ニュースメディアでも、こぞって取り上げられていたようです。

発表を受けて、ユーザーたちの意見もネット上に流れ始めています。プラスの意見も、マイナスの意見もいろいろと流れるのが当然で、だからこそ誰もが気軽に(それが良いことなのかどうかはともかく)情報発信できるようになった今の世の中は面白いんですが、皆さんの意見を読みながら、私自身もちょっと頭を整理して、CF-AX2についてちょっと考えてみようかと思います。


あるときにはUltrabook、またあるときにはタブレット…という「ハイブリッド・モバイル」を謳って登場したCF-AX2なんですが、こうした二兎を追おうとするコンセプトには、往々にして「中途半端」とか「どっちつかず」とかいう批判がつきまといます。あんな余計なギミックがなければ、もっと小さく、軽く仕上がったんじゃないか?なんて思う方もあるかも知れません。

次世代のパソコン用OSであるWindows 8が、タッチパネルを積極的に意識したタブレット志向のOSに仕上がっている以上、モバイルノートパソコンがタブレットに歩み寄る方向になるのは仕方ない話。タッチパネルの装備は避けられなかったでしょうし、変形方法についても、CF-AX2の採った方法は構造の複雑化を最低限に抑えたものではあると思います。「コンバーチブル端末としては」という注釈は必要なものの、相当に軽く仕上がっていると言えるでしょう。

Ultrabookに使われる超低電圧版のCPUは、標準電圧版CPUよりも動作周波数が低くなっているので、処理性能面での不安もあります。しかし、実は超低電圧版でもTurbo Boost時の動作周波数は標準電圧版とあまり差がありません。最近のIntel製CPUでは、Turbo Boost機能で一気に動作周波数を上げて処理し、その後はアイドル状態…という動作をしますから、実質的には処理性能での不利はほとんどないはずです。そもそも、この差が問題になるほどヘビーにモバイルPCを使いこなしている人がどのくらいいるのかもちょっと疑問ではあるところです。

一方で、タブレットとして評価すると、CF-AX2は現在巷にあるタブレットよりも大きく、分厚く、スタミナでも今ひとつ。これは、ひとえにノートパソコンとしてのパワーが、タブレットにとってはあまりにも過大なことに起因します。従来のタブレット、例えばiPadの代わりに持ち歩くか?と聞かれたら、私でも「嫌だ」と答えます。

ただし、これは「パソコンで動くタブレット用OS」という側面を持つWindows 8が、どんな活躍をしてくれるかでも評価が変わってきます。Windows 8ならではの、高いパフォーマンスを要求し、それに見合った素晴らしい体験をさせてくれるアプリケーションが登場してくれば、CF-AX2のような「パソコン系タブレット」の評価も一変するはずです


ただ、「中途半端」という指摘にはもうひとつの方向性があります。構造は面白いけれど、これをCF-RxシリーズやCF-Jxシリーズのサイズ感のままで実現してくれれば、もっと小さく、軽く仕上がったのでは?という意見も見られます。これは、裏を返すと、11.6型ワイド画面というこのサイズ感では、他の機種との差別化ポイントが見えにくい…ということでもあります。

実は、現行モデルのCF-SX2で、SSD搭載モデルに軽量バッテリーパック(S)を装着すると、本体の合計重量は1.12kg。CF-AX2よりもわずかながら軽量に仕上がる上に、より大きな高解像度の画面、内蔵されたDVDスーパーマルチドライブ、標準電圧版のパワフルな第3世代Core iシリーズCPUといった一段上の基礎体力に加え、ほぼ同等のバッテリー駆動時間が手に入ります。

一方のCF-AX2のアドバンテージは筐体の3方向の寸法の小ささ、バッテリー動作中にバッテリーが次々に交換できること、Windows 8対応のタッチパネルや例のタブレットへの変身機構…となるわけですが、先の2つはともかく、Windows 8向けの機能がどのくらい役に立つかは未知数。Windows 8がタブレット向けOSとして成功できなければ、全てが余計なお荷物になりかねません。

だからといって、CF-AX2のサイズがもう一回り小さく設計されていれば良かったのか?といえば、これはなかなか難しい問題です。おそらく、レッツノートらしさのどこかに大きな犠牲を伴います。CF-AX2の11.6型ワイド画面がどのように決まったのかはわかりませんが、Ultrabookを満たす筐体サイズの中で、レッツノートとして譲れない機能を詰め込んだら、これ以上小さく出来なかったのでは?という気がしています。よく見ると、キーボードの左右に結構余裕がありますよね。アルミ+マグネシウムのハイブリッド筐体の加工上の問題もあるかも知れませんが、側面に配置された端子群との関係で、キーボードをギリギリ隅までは配置できなかったのかも知れません。

これまでレッツノートをヘビーに使い倒してきたユーザーたちにとっては、CF-SX2の方がより幸せな環境をもたらすことになるかも知れません。しかし、様々なモバイルデバイスを巻き込んで、パソコンというデバイス自身の存在価値が揺らいできている現在、より多様な未来に対応できる可能性があるのは、CF-AX2のような気がしています。


一度深呼吸して、改めて考えてみても、CF-AX2は魅力十分の新商品です。あんなぶっ飛んだギミックを装備しても、レッツノートらしさは失っていないと思います。今やレッツノートのアイデンティティとなったボンネット構造の天板が健在なのも嬉しいですね。しかし、何度も触れたとおり、そのポテンシャルが生かせるかどうかはWindows 8の展開次第。CF-AX2の命運は、Microsoft社の双肩にかかっている…といっても過言ではありません。

ただ、CF-AX2を新しいレッツノートとしての私の選択肢に入れるには、まだ判断材料が足りません。カタログ上の数値としては、従来同様の堅牢さを確保していると言いますが、やはり実際に製品に触れてみて、この手でひねり、この目で確認しなくては納得いきません。薄型化されたことによる、キーボードタッチの変化も気になるところです。

Windows 8がデビューする10月26日には、CF-AX2も同時に発売になります。先日紹介したCM映像のように、プロモーションには相当気合いが入っているようですから、今回はそれほど苦労せずに実物を見られるのでは?と期待しています。まずは、そこからです。



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