巨大地震にどう注意するか

8月8日の午後4時43分頃に、宮崎県沖の日向灘を震源とする地震が発生しました。記録された最大震度は6弱、マグニチュードは7.1。もちろんこの地震自体大きなもので、けが人が出たり、住居や建物等が破壊されたり…と被害が出ています。一時は津波注意報も発令されていました。

しかし、この地震はその揺れ自体よりもはるかに大きな影響を、東日本以西の広い範囲に与えることになっています。この地震を受けて、気象庁は「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」というものを発表しました。

南海トラフ地震の想定震源域では、新たな⼤規模地震の発⽣可能性が平常時と⽐べて相対的に⾼まっていると考えられます

今後、もし⼤規模地震が発⽣すると、強い揺れや⾼い津波を⽣じると考えられます

政府や⾃治体などからの呼びかけ等に応じた防災対応をとってください

NT_202408081945sv.pdf (jma.go.jp)


南海トラフは、駿河湾から日向灘にかけての約700 kmにわたって伸びる海底の溝で、ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、ひずみが蓄積されている…とされています。このひずみが解放されて発生するのがいわゆる「南海トラフ地震」で、全域が一気に動けば、あの東日本大震災に匹敵するエネルギーを持つのではないか、と想定されています。

その地震が起こる可能性が、「平常時と比べて相対的に高まっている」というのですから、尋常ではありません。これについては、気象庁が根拠となる数値を示していますが、

Mw7.0以上の地震発生後、7日以内にMw8クラス以上(Mw7.8以上)の大規模地震が発生するのは、数百回に1回程度です。

NT_202408081945sv.pdf (jma.go.jp)

(Mw:モーメントマグニチュード。地震で地殻が動いた力を評価した地震の強さで、普通のマグニチュードとは計算方法が違いますが近い数値が出ます)

とのことです。1904年から2014年の間に、全世界でMw7.0以上の地震が1,437回発生し、その震源から50km以内で7日以内に発生したMw7.8以上の地震が6回ある…ということですから、発生確率は239.5回に1回となります。4枚買った宝くじから下3桁が一致するくじ(今年のサマージャンボの場合は3等で当せん金10,000 円)が出る確率が約250分の1ですから、これよりも高確率ということになるわけで…高いのか低いのか、かえって訳がわからなくなったような気もします(汗)。

ただ、ひとつ確実に言えるのが、その6回のうちの1回が東日本大震災である、ということ。今回の地震がその例に加わるか否かはまだわかりませんが、少なくとも一笑に付すことができるレベルの話ではないと感じます。


気象庁の発表を受けて、政府や県・市などがそれぞれ住民に向けたメッセージを発信しています。基本的に、通常の経済活動を維持しつつ、地震の発生に備えた(主に心の)準備は進めてほしい…ということのようです。

とはいえ、実際には旅行の予約キャンセルが大量に発生したり、店から特定の商品が消えたり…という現象は起きているようです。もちろん、危険度をどう判断してどう行動するかは、ひとりひとりに任されているわけで、ワタシなんぞがとやかく言える話ではありません。

基本的に半世紀ほどの人生のほとんどを静岡県で過ごしている自分たちの場合、物心ついた頃にはすでに「東海地震説」に基づいた防災教育が始まっていましたから、地震への備えをしておかなくてはならない!という考え方は染みついています。そんな土地柄でも、近所のショッピングセンターに行ったら食料品の棚はガラガラになっています。多くの人が普段の備えに不安を持っているということなのでしょうけれど、半世紀もの間地震への備えを唱えられ続け、しかも他の地域では大地震があったものの、地元ではず~っと空振り…という現状では、つい緩みや油断があるかも知れません。

我が家の場合、飲料水は1週間以上の備蓄ができていると考えていますが、食料品や生活用水には不安があります。電気については太陽光発電や蓄電池で最低限は乗り切れる対応をしていますが、肝心の非常時に設定を切り替える方法は、私しか知りません。せっかくの設備を誰にでも操作できるように、マニュアルをわかりやすいところに用意しておかなくてはなりません。

家は十分堅牢な構造なので、基本的に避難所に行かずに済ませたいのですが、それでも非常持ち出し袋は用意しました。私の場合は、通勤用のバッグに財布や診察券・お薬手帳等が入っているので、これにもう少し非常時に役立つものを追加して対応しようと思います。


ちょっと悩ましいのは、今月は夏休みにちょっと遠出をする計画をしていること。それも、件の地震の震源地に近づいていく方面になります。とりあえず、現在の「巨大地震注意」は1週間という話になっていて、旅行の予定はそれ以降なので、キャンセルなどはせずに様子見としています。今のところ、異常な地殻変動の兆候も見られないようですしね。既にキャンセル料が発生する状況なので、今さら中止しにくい…というのもあったりしますが。

とはいえ、旅行先で被災したときに困らないように、できる範囲の準備はしておきたいところ。まずは、通ることになる各県のハザードマップに目を通しておくつもりです…12府県もあるのでタイヘンなのですが(汗)。今はどこの県も、Web上のGIS(要するに地図アプリのサービス)で案内していてわかりやすいですね。海岸沿いも、山も通っていく予定なので、地震発生時のリスクは結構高い部分もありますが、備えあれば憂いなし、です。

もっとも、今回のようなことにならなくても、旅行前の下調べはしっかりしておかないと落ち着かないタチです。今回はクルマで出かけるので、給油やトイレ休憩はどこで取れるのか?とか、時間が押しているときはルートをどう変更するか?とか、頭にある程度入れておかないと、突発的なトラブルの時に怖いんですよね。そこにちょっと情報が増えるだけです。ま、なんとかなるさ。



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