i-MiEV、いよいよ登場

三菱自動車が、電気自動車・i-MiEV(あいみーぶ)を公開しました。まずは7月下旬から官公庁や法人向けにリースの形で提供され、個人向けには来年4月から販売が始まるのだそうです。i-MiEVのことは以前から気になっていましたが、いよいよ公道で普通に見られる日が近づいてきました。

これまでに役所などに実験的に配備されたり、一人用の超小型車両として実用化されたりしているものはありますが、現在巷で活躍している車と同じように、普通に使ってもらうために電気自動車が量産・市販されるのは、国内ではおそらく初めてのことです。

富士重工業もプラグインステラを7月下旬から提供、日産も来年からの発売を発表…と、ここに来てにわかに電気自動車に注目が集まっています。もちろん、トヨタのプリウス、ホンダのインサイトなどハイブリッド車も、月間販売台数のトップを奪い合うなど元気です。環境問題と世界同時不況を背景に、自動車業界全体が環境にシフトして生き残りを賭けています。


軽乗用車のiをベースに作られたi-MiEVは、普通に大人4人が乗れる室内空間はそのままにメカニズムを電気自動車化。エンジンの代わりにモーターを、燃料タンクの代わりに大量のバッテリーを搭載します。1回の充電での走行距離はスペック上は160kmとなっていますが、エアコンなどを使いながら普通に走っても100km程度は走ることができるようです。

「電気自動車は航続距離が短いからまだ使い物にならない」という意見を良く聞きますが、車は日常の足で自転車の延長程度、あまり遠出はしない…という生活パターンの人にとっては、現状でも十分実用になる性能だと思います。それどころか、走行距離あたり電気代(この場合「燃費」という言葉にはどうも違和感があります)の安さ、排気ガスを全く出さないクリーンさは、ハイブリッド車も含めた内燃機関を使う車とは別次元の魅力になり得ると思います。


クルマとしての走行性能でも、電気自動車はちょっと異質なものを持っています。最大のトルク(回転力)を引き出せる回転数が限られているエンジンとは異なり、電気モーターは起動直後にいきなり最大トルクを発生できますから、その気になれば超ロケットダッシュの車を作れます。かつて電動ラジコンカーを趣味にしていたことがありますから、その強烈さは体験済み。むしろ、発進時にはいかにホイールをスピンさせないか、デリケートなアクセルコントロールが求められます。

もっとも、実際に人を乗せて走る乗用車で、これをそのまま実装してはまともな乗り物にはなりません。車の側できちんとトラクションコントロールをするようです。モーターは出力を簡単にきめ細かく制御できますから、CVT(無段変速機)のようなややこしい仕組みがなくても滑らかな加速・減速が可能です。

バックしたいときでもモーターを逆回転させればよい(エンジンの場合はこれができないのでトランスミッションで逆転させる必要がある)わけですから、i-MiEVのトランスミッションは1段変速…というか、そもそも減速しているだけで「変速」機構は全く持たないのだそうです。現在話題のハイブリッド車よりも、従来の内燃機関を積んだ車よりもずっとシンプルな構造になります。

まあ、そんなことは私が言うまでもなく、100年前の自動車開発黎明期の皆さんが既に承知していたことで、電気自動車は内燃機関を使う車よりも先に登場しています。動作音が静かで室内環境も快適なことなど、電気自動車には他にも魅力になるポイントがあります。技術の進歩でようやくいろいろな要素がかみ合って、ひとつの形を現しつつあるのが現状のような気がします。


現時点で最大の問題は価格でしょうか。現在発表されているi-MiEVの希望小売価格は消費税込みで4,599,000円。今なら取得税や重量税は全額免除で、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」を受けることもできますが、それでも自己負担額は300万円くらいになります。これではとても庶民には手が出ません。とにかく、まず期待したいのは値段を下げてもらうことです。

最後のウイークポイントとなるかも知れない航続距離については、30分程度で急速充電ができる、ガソリンスタンドならぬ「電気スタンド」(笑)のきめ細かな設置で対応することになるようですね。ショッピングセンターに車を停めて、買い物中に充電…というようなパターンなら、十分使い物になりそうです。もちろん、実際にちゃんと設置されていくのかどうかが、電気自動車が「使える」乗り物になるのかどうかの決め手になります。

通常の充電は100Vで14時間、200Vで7時間。ひと晩かけて深夜電力でお得に充電…ということになるのでしょうか。集合住宅だと、車のところまで電線を引っ張るのが難しそうですが、現時点でこの車を買えるような人は、そんな些細なことに悩む必要はないのでしょうね。専用の車庫くらい簡単に作ってしまいそうです。


現在の愛車・デリカD:5も、i-MiEVと同じ三菱自動車の製品。定期点検に持って行ったときなどに、もしi-MiEVの試乗車があれば乗せてもらおうかと思っています。新時代の乗用車を是非体感してみたいものです。

新しもの好きの私としては、できるものならオーナーになってみたい思いもありますが…さすがに軽自動車が8人乗り3ナンバー1-BOXのデリカよりも高いのでは辛いですねぇ(苦笑)。2010年度以降の増産計画の中に、ちゃんと大幅値下げが計算に入っていることを祈りましょう。

大人数を乗せたり、長距離を乗ったりする場面は確実にあるので、デリカから完全に乗り換えるわけにも行きません。2台を使い分ける生活スタイルとしては、この2台はベストに近い組み合わせだとは思うんですが、我が家に2台分の駐車スペースと充電用電源が確保できるのか、2台の自家用車を持つ経済的余裕があるのか…といった数々の課題をクリアする必要は残ります。さすがにまだ夢物語でしょうか。



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