合併の憂鬱

昨日・8月6日は、「鹿島の花火」を見に出かけました。毎年8月最初の土曜日に行われている、地元では人気の花火大会の一つで、最近は毎年のように足を運んでいます。いつもと同じ天竜川の河川敷で、いつもと同じ大音響の中、大迫力の花火ショーが繰り広げられました。去年みたいに雨に降られてしまうこともなく、存分に楽しむことができました。

鹿島の花火・2005(マニュアル露出、10秒[bulb]、F8);拡大画像サイズ61.2KB

私の新しいデジカメ・DiMAGE A200は、この日が花火大会デビューとなりました。ここでのこのカメラの強みの一つは、マニュアル露出での撮影…特にシャッターボタンを押している間ずっと露光を続行するバルブ撮影が可能なこと。露光時間をコントロールすることで、こんな風に光が長く糸を引いた花火を撮ることができます。

ただ、シャッターを押してから露光が始まるまでの時間差がやや大きめのようで、タイミングをつかむのにちょっと苦労しました。それよりも苦労したのは、適正な露出を得るための絞りと露光時間を考えることでしたけどね。最近は露出をカメラ任せにしていましたから、すっかり勘を失っていて試行錯誤するしかありませんでした。

鹿島の花火・2005;Windows Media 9形式・320×240pixels・1分12秒、2.57MB

そして、もう一つの優位性は35mmカメラ換算28mm相当の広角で動画撮影が可能なこと。しかも、640×480ピクセル・毎秒30コマというビデオカメラと遜色ないレベルの撮影が可能で、レバー切り替えだけで1台のカメラが動画にも静止画にも対応できるわけですから強力です。ただ、動画の音声録音部分はかなり貧弱なので、完全にビデオカメラの代わりができるわけではありませんけどね。


「浜松市鹿島」と書かれた道路標識

先に「いつもと同じ」と書きましたが、実はこの花火大会にも今年は一つ大きな変化がありました。それは、会場である天竜川の河川敷が、この7月の合併で天竜市から浜松市になったこと。道路標識の現在地表示も、ちゃんと取り替えられていました。前に合併した実感が全然ないという話をしましたが、標識の表示は見た目でわかる変化の一つです。

そういえば、かつての市町村境にあった標識もすっかり撤去されました。ただ、「ライオンキング」を見に行った帰り、東名高速の宇利トンネルを抜けたところにはまだ「三ヶ日町」のミカンの絵入りの標識が立っていましたね。東名高速の市町村境の標識には、その市町村を代表するイメージイラストが描かれます。新しい浜松市を象徴するのはどんな絵になるんでしょうか。これはなかなかの難題かも知れません。

…とそれはともかく、合併によって市町村そのもの以外にもいろいろなものの名前が変わりました。鹿島の花火の主催者である天竜観光協会は、元の名称から「市」の文字を取り除いて改名しました。他にも天竜森林組合などが同じように改名しています。天竜市商工会は、あえてそのまま名前に「市」を残したようです。そして、天竜市役所は「浜松市天竜総合事務所」になったわけです。


今年の鹿島の花火では、浜松市の北脇保之市長が挨拶に立ちました。共催団体である浜松市天竜総合事務所の上に立つ役職の方ですから、当然共催者としての立場から「本日はどうぞお楽しみください」と挨拶をしました。そのとき、私の近くの桟敷席から「あんたは何にもやってねぇだろ。帰れよ」というヤジが飛んでいるのがはっきり聞こえました。確かに、鹿島の花火は旧天竜市の皆さんが長年支えてきたイベントで、この方の言い分ももっともなところはあります。しかし、この方の言葉遣いからは、もっと深い部分での浜松市に対する敵意が伺えるような気がしました。

合併により旧浜松市以外の地域では住所表示が変わりました。もともと町や村だった地域では「浜松市○○町●●」(旧龍山村は「龍山町」)と、「浜松市」の後ろに旧町村名や字名をそのままつなげた形になっています。しかし、旧天竜市と旧浜北市では、先の道路標識を見るとわかるとおり、「天竜市二俣町鹿島」から「浜松市二俣町鹿島」へと、市の名前を「浜松市」に置き換える対応になりました。慣れ親しんだ旧市の名前が住所から消えてしまったわけです。

まあ、これは再来年の政令指定都市移行までの暫定措置で、行政区の名前として「浜北区」「天竜区」が復活する可能性は十分高いと思っていますが、それでも「浜松市に飲み込まれた」というイメージが他の町村よりは強くなっているのではないかな?と思います。「たかが名前」かも知れませんが、やっぱり「されど名前」です。静岡市と合併するときの旧清水市では、これも政令指定都市移行までの暫定措置であることを知りながら、「清水」の名前を消さないことに徹底してこだわりました

合併に参加した11市町村の方々は、ふるさとに愛着がありつつも、将来のことを考えたら財政力のある浜松市を頼って一緒になるしかない…と苦渋の決断を迫られたはずです。おそらく、飲み込まれるのでは?と言う不信感を払拭することはできなかったでしょう。先にヤジを飛ばした方のような皆さんに、合併を心から喜んでもらうことはおそらく不可能です。しかし、「まあ、仕方ねぇな」くらいまで改善していくことはできるはずですよね。まだ合併してからたったの1ヶ月。本当の評価が決まるのはまだまだ先です。



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コメント

“合併の憂鬱” への2件のフィードバック

  1. 水上紫緒のアバター
    水上紫緒

    花火、とっても綺麗に撮れてますね。さすがです~。私のは、なんだか戦隊ものの爆発シーンのような写真ばかりで(笑)ちょっと凹んでいます。やっぱり花火は難しいです。動画の方が臨場感があって良いですね。聞こえてくる音声に苦笑いですが。はしゃぎすぎ。でもとってもとっても楽しかったです。ヤジは気付きませんでした。いろいろな意見があって当然のことですけど、みんなが納得できるような答えというものはやはり存在しないのでしょうね。SSKさんのおっしゃるとおり、「まあ、仕方がない」くらいまでみんなが努力をしていかなくてはいけないのでしょうね。

  2. S.S.K.のアバター

    紫緒さん、こんばんは。楽しかったですね。…実は合唱団の皆さんと出かけてたんです>読者の皆さん。
    花火の写真を撮るのはかなり難しいんですよね。その点動画の方が失敗しにくいんですが、バルブ撮影で長時間露光した写真には、動画では絶対出せない幻想的な魅力があります。ただ、私も三脚を持って行かなかったのは失敗でしたね。手ぶれ補正である程度カバーできたのは救いでしたが…。そのうちに、上手く行ったものを何枚かPhoto Worldに出してみようかと思っています。
    合併の話は根が深いです。人の心は、市町村のかたちほど急には変われませんから。これまで慣れ親しんできた町も、過去には数度の大合併を経験している場合がほとんどです。あとは時間に解決してもらうしかないのかも知れませんね。

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