イチローの宿題

ロンドンで夏季オリンピック大会が開幕して、様々な種目の競技が始まっています。開会式よりも前から、一部の競技では予選が行われていますね。一番びっくりしたのは、男子サッカーの日本代表が、超強豪国のスペイン代表に勝利してしまったことでしょうか。しかし、16年前にブラジル代表を破ったときのような、「まぐれで勝っちゃった」という雰囲気はありません。今の日本代表が採れる戦略を選手たちが忠実に実行して、勝てるチャンスを掴み取った…と言って良いと思います。本当に強くなったものです。もちろん、ここで気を緩めてしまうようではダメなんですが。

ともかく、これから2週間少々の間は、様々なスポーツの話題には事欠かないことになりそうです。しかし、この1週間を振り返ると、スポーツ関係ではどうしても触れておかなくてはならない大ニュースがありました。アメリカ・メジャーリーグのイチロー選手が、シアトルマリナーズからニューヨークヤンキースに電撃移籍しましたよね。


私がこのニュースを最初に耳にしたのは、職場のテレビで昼休みに受信されていたNHKのニュースでした。メジャーリーグの試合は日本時間だと早朝から午前中が中心時間帯ですから、NHKを選局しておけばニュースでメジャーリーグの試合が取り上げられること自体は当たり前。ぼーっとしていた私は、何気なしに「イチローだなぁ」と画面を見ていたんですが、何だか違和感がありました。よく見ると、背番号が違います。そもそも、ユニフォームの色やデザインからして全然違います。

この日・7月23日(日本時間24日)のマリナーズ対ヤンキース戦の数時間前にトレードが発表されて、試合ではイチローはヤンキースのスタメンに名前を連ね、1安打を放ち、盗塁も決めました。私だけでなく誰もにとってあまりにも電撃的な発表でしたが、以前から彼にはトレードの噂は何度も出ていたわけで、意外に私はすんなりと受け入れていました。

それにしても、チームの看板選手に対してこんなにあっさりと移籍の話が進んでしまうのは、いかにもアメリカ的な気がしますね。例えば、阪神タイガースの金本知憲選手が、甲子園での読売ジャイアンツ戦直前にジャイアンツへトレードされて、その日のジャイアンツのスタメンに名前を連ねている…と想像してみましょう。そんな事態、まずあり得ませんよね。Jリーグならまだあり得る話のような気もしますが。

もしそんなことがあれば、甲子園球場にはヤジと怒号が飛び交うかも知れませんが、セーフコフィールドのマリナーズファンたちは、ヤンキースのイチローをスタンディングオベーションで迎えました。チームを盛り上げようと10年以上先頭に立って走ってきた彼に対して、そして新天地での彼の挑戦に対して、敬意を示すことをちゃんと知っている人たちです。私はメジャーリーグの試合をスタジアムで観戦したことが過去2回ありますが、そのときに感じた「アメリカのベースボールファンってスゴいなぁ」という思いは、今も全く変わりません。


昨シーズンはメジャーリーグ11年目にして初めて200本安打を下回り、不本意な1年だったであろうイチロー選手。今シーズンも、並のメジャーリーガーとしてはともかく(メジャーリーガー自体「並」という形容が実に似合わない存在ではあるのですが)、私たちが期待する「イチロー」にはとても及ばない成績が続いていました。

そんな状況で、彼自身が新しい環境の元で刺激を受けたいとトレードを志願したのだそうです。もっとも、トレードは相手球団のある話ですから、お互いのニーズが一致しないことには成立しません。イチローの移籍先がヤンキースに決まる上で、彼自身の希望が果たしてどのくらいあったのかはわかりませんが、私は、きっと彼にとって大きなプラスになる話ではないかと思っています。

11年半の間、マリナーズで数々の輝かしい実績を残してきたイチローですが、残念だったのはチームの成績がこの間ずっと振るわなかったこと。一見クールに、淡々と自分の仕事をこなすことに集中してきたように見える彼ですが、WBCでのはしゃぎっぷりを見れば、普段のあの態度は心の奥底からの思いでないことがわかります。やっぱり、団体競技の選手にとって最も嬉しいのは、自分の所属チームの勝利なのだと思います。

ヤンキースは、メジャーリーグでは屈指の伝統ある名門球団。常に勝利を期待され、そしてそれを体現する実力を兼ね備えています。ワールドシリーズ制覇回数27回は、ぶっちぎりのトップです。もちろん、覆い被さるプレッシャーの大きさも並々ならぬものがあるはずですが、彼自身もその緊張感に対してはむしろ好感を持っているようです。

ワールドシリーズの制覇に貢献し、勝利の美酒に酔いしれる彼の姿を見たいと思っているのは、私だけではないと思います。マリナーズでやり残してしまった宿題を、ヤンキースで是非とも片付けてほしいものです。

もっとも、まずはチームに必要な人材とならなくては始まりません。移籍から5試合連続安打中ということですが、この調子で完全復調に期待しましょう。私は、まだ彼は衰えたわけではないと思っています。


ところで、このニュースに続いてもうひとつ、心配なニュースが飛び込んできました。松井秀喜選手が、タンパベイレイズから戦力外通告を受けたのだそうです。今シーズンの開幕当初にはまだ所属球団が決まらず、4月末にようやくレイズとマイナー契約。何とかメジャー昇格までは進んだものの、ほとんど良いところは見せられませんでした。

現状では、メジャーリーグの他球団から声がかかる可能性は低いでしょう。日本に帰ってくる…なんて話も考えられますが、移籍するとしても期限は今月末まで。時間は全然ありません。このまま引退してしまうのはもったいない選手だと思います。ドキドキしながら、今後の成り行きを見守ることになりそうです。



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