先日、ThinkPad X13 Gen 6 Intelから、ブルーレイレコーダーやNASに保管してあるテレビ番組がちゃんと観られない話をしたところです。どうやらいくつかの要因が重なっていそうなのですが、Windows Updateが不具合を連れてきてしまったことに原因の一端があるらしい…ということはわかっていました。
9月29日に、Windows 11 バージョン24H2向けに、2025年9月分の非セキュリティプレビュー更新プログラム・KB5065789が公開されました。これは、毎月第2火曜日に出てくる月例更新に先だって、主に機能面の不具合が修正されるアップデートで、これを適用せずに放置しても、普通は月例更新の時に内容が反映されるものになります。だから「プレビュー更新」と呼ばれるんですね。
…というのはともかく、このKB5065789で、KB5065426がやらかした不具合の一部が解消された…とアナウンスされています。著作権保護(DRM)付きの映像をディスプレイに出力する際に使われる、「HDCP」と呼ばれる規格に関するエラーは修正されたのだそうです。まだ、音声にDRMが掛けられている場合は問題が残っている可能性があるそうですが、Microsoft社としてはこちらの修正も進める予定のようです。
我が家の環境ではどうなのだろう?ということで、一時ストップしてあったWindows Updateの自動更新を再開させて、KB5065789を適用してみました。しかし、sMedio TV Suiteはまた味も素っ気も無いエラーを吐き出して、テレビ番組を再生しなくなってしまいました。まだ問題が残っているようです。
緑色のノイズが発生している件については、テクニカルサポート宛てにメールを送ってから1週間が経ちましたが、いまだに全く音沙汰がありません。そもそも、「受け付けました」という返信すらないのは、本当に届いているのかどうか不安になります。「現在調査中」でも「原因不明」でも「これが仕様です」でも、何かしら回答がいただければ、こちらとしては踏ん切りが付いて次に進める可能性が出てくるのですが…。
sMedio TV Suiteについては、(株)sMedioだけでなく、現在の商号であるGreenBee(株)としてもサポート受付のメール窓口を持っています。こちらのメールアドレスにも、改めて問い合わせのメールが送ってあるのですが、こちらからも今のところ回答はありません。有料で購入したアプリですから、何とか不具合は解消したいところなのですが…いったいどうなっているのでしょうか。
同社のsMedio TV Suite製品ページからサポート情報を見ると、2023年7月以来更新情報がありません。そもそも、彼らにはあまりやる気が無いのかも知れません。実質的に日本限定の、どちらかというとニッチなアプリですし。
とはいえ、録り溜めてNASに保管した録画データも大量にある以上、GreenBeeさんにとってどうかはともかく、私にとってはデジタルTV放送のPC上での視聴は重要なニーズです。代替手段は何かないか?ということで、白羽の矢を立てたアプリがひとつあります。
ソニーがネット直販のソニーストア限定で販売している、「PC TV Plus」というアプリがあります。「あなたのパソコンがテレビになる。」というコンセプトで、テレビやブルーレイレコーダーなどの機能を、ネットワーク経由でPCから利用できるアプリです。製品ページには、
テレビやブルーレイディスクレコーダーの場合は、「ソニールームリンク」「お部屋ジャンプリンク」「レグザリンク」などの機能を搭載する機器と仕様の互換があります。
パソコンでテレビ視聴、かんたんダビング「PC TV Plus (Lite)」 | 関連ソフトウェア | ソニー https://www.sony.jp/software/store/products/pctv-plus/
と明記されていて、自社製品で囲い込むわけではなく、DLNA・DTCP-IPによるオープンな対応になっているようです。もちろん、我が家のソニー製ブルーレイレコーダー・BDZ-FBW1000は動作確認済み機器一覧に掲載されていて、安心感があると共に、ソニー謹製ソフトウェアとの組み合わせならではの多彩な機能への対応にも期待できます。製品ページから、14日間全機能を使用できる体験版がダウンロードできるので、ちょっと試してみることにしました。




アプリを起動すると、最上段にタブ状に5つの機能メニューが並んでいます。いちばん左の「home」は、様々な情報が集約されたホーム画面。「video」は、対象の機器で録画された番組の一覧で、機器はネットワーク内の複数の機器を登録できます。もちろん、ここから番組を条件を指定して検索したり、開いて再生したり…という操作ができます。我が家のNASも対象機器として認識され、番組の再生もできました。
「guide」は、ブルーレイレコーダーの番組表を表示し、番組をクリックして開くと、その番組を視聴したり、録画予約したりできます。「schedule」は、指定したレコーダーで録画予約されている番組一覧です。我が家のブルーレイレコーダーは、今ハードディスクの空き容量が逼迫しているので、途中から「予約が録画できない可能性があります」と警告が表示されています。この画面から予約を取り消すこともできます。そもそも目的が異なるアプリとはいえ、sMedio TV Suiteよりもはるかに多機能です。




そして、「tv」は現在放送中の番組を、ブルーレイレコーダーのチューナーでライブ受信してPCで放映します。全画面表示の他、ウィンドウ表示とミニプレーヤーの表示を選ぶことができます。どの表示でも、しばらく放置すると番組情報やコントローラーの表示が消えて、実にシンプルに映像が楽しめるデザインになっています。このあたりは実にソニーらしく、「よくわかっている」作りになっていると思います。
再生画面自体は、tvとvideoの両モードで共通。どちらのモードでも、KB5065789が適用された状態で、問題なく映像と音声が再生されます。また、BSデジタル放送の録画データ・ライブ受信ともに、緑色のノイズが載ることはありません。完全に正常に動作していると考えて良さそうです。

アプリの設定によると、番組の再生に「ハードウェアアクセラレーターによる再生を使用する」という設定が標準で有効になっていて、Intel Arc 140T GPUの動画再生支援機能はちゃんと使われているようです。緑の砂嵐のsMedio TV Suiteとどこが違うのかはよくわかりませんが、こうなってくると、sMedio TV Suite側に問題がありそうだなぁ…。

ちなみに、PC TV Plusのバージョン情報によると、DTCP-IP関連の部分には「(株)ピクセラのDTCP-IP SDKを搭載しております」と説明されています。PC用テレビチューナーでは実績のあるメーカーで、Microsoftストアアプリの「StationTV Link」も提供しています。当時はちょっと不安定な挙動も気になっていましたが、このPC TV Plusに関しては問題は感じません。

もうひとつ、どうしても触れておきたいのが、年に数回の頻度でアップデートブログラムが提供され続けていること。最新版は、先月(2025年9月)に公開されています。KB5065426(とその前の非セキュリティプレビュー更新のKB5065081)で著作権エラーが発生し、KB5065789で解決している経過も、アプリのお知らせで確認できます。sMedio TV SuiteやWindows 10のような「静かに余生を送っている」状況のアプリとは違い、これから購入しても、しばらくは安心して使い続けられそうです。
製品ラインナップとしては、機能限定版のPC TV Liteが3,300 円(10%税込、以下同じ)、標準版は1ライセンス4,400 円、2ライセンス7,700 円、3ライセンス9,900 円…と、まとめ買いするとちょっとお得な感じになっています。Lite版と標準版の価格差1,000 円が妥当なのかどうかは難しいところなのですが、標準版はPCにダビングした番組を編集(CMカットとか)して機器に書き戻す…なんて芸当もこなすようなので、個人的にはかなり魅力を感じます。
あとは、年額 2,200 円で機能がさらに追加できる「Advanced Pack」というものもあります。インターネット経由のオンデマンド視聴ができるようになる(あらかじめダウンロードしておいた番組の視聴はLite版でも可能)のは魅力を感じますが、「年額」のサブスクというのが微妙なところ。そこまでは要らないかもしれません。5G経由だと、通信料もとんでもないことになりそうですし。
とりあえず、体験版でもう少しやれることの詳細を確認してから、実際に購入するかどうか決めようと思います。sMedio TV Suiteの不具合解消の方は…なんだかもう、どうでもよくなってきちゃったなぁ。
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