新幹線もタッチ&ゴー

先週・今週の2週間で、東京に行かなくてはならない用件が3度もありました。しかも、これが計ったように2日おきの日程で、現地に泊まるなどすることはなく、毎回自宅のある浜松の片田舎から出かけては戻る…ということになりました。昨年4月から転勤で職場が近くなり、通勤では新幹線に乗らなくなりましたが、一方で新幹線を使って出張する機会はずいぶん増えた気がします。

新幹線通勤の頃は定期券を購入していたので、首都圏方面への出張などでは、静岡まではこの定期券で移動し、その先はきっぷを購入…ということになっていました。定期券の分だけ交通費が安上がりになるので、出張の交通費を支払う職場からしても、実際に乗る私からしても、当然これしか選択肢はないんですが、そのせいで、これまで気になっていたものの利用する気になれなかったサービスがありました。


JR東海では、東海道新幹線の指定席予約をスマートフォンやPCからオンラインで行い、乗車するときはきっぷを別途受け取らなくてもICカードをタッチすることで改札を通過できる、「エクスプレス予約」というサービスを提供しています。

年会費が1,080円(税込)かかりますが、その代わりに毎回の乗車料金は割安に設定されていて、普通車指定席の料金は基本的に同区間の自由席のきっぷよりも安くなります。また、予約した列車が出発する前なら、何度でも手数料なしで予約の変更が可能です。全国を飛び回り、新幹線で様々な区間を日々移動しているような方には、まさにおあつらえ向きのサービスといえそうです。

以前は、エクスプレス予約を利用するためには、専用のクレジットカードを契約しなくてはならず、これがかなり敷居を高くしていましたが、現在では、エクスプレス予約と同様のサービスが使えるようになる「プラスEX」というオプションが提供されているカード会社があります。私が普段使っているクレジットカードの中にも、プラスEXが利用可能なものがあったので、これを申し込んでみることにしました。

申し込み自体はWebからあっという間に済みましたが、これだけでは使えるようにはなりません。というのも、エクスプレス予約では、JR東海から改札を通るための専用のICカードが提供されるのですが、これが届くまでに結構時間がかかります。私の場合には2週間弱ほどかかりました。


座席の予約は、スマートフォンまたはPCのWebサイトから行えます。乗降駅と出発または到着の時間帯、あるいは列車の直接指定で予約する列車を選び、座席は「○号車」「窓側」「廊下側」等のざっくりした指定の他、座席表を見ながら特定の座席を指定することができるようになっています。出先で予約したり、乗車便を変更したりすることも想定されますから、基本的にはスマートフォン版の操作に慣れておいた方が良いでしょう。

スマートフォン用には「EXアプリ」も提供されてはいますが、あまりアプリならではの利点を生かしていないような気がします。スマートフォン版のWebサイトの操作性も悪くはありませんし、アプリではできないこともあったりするので、アプリを無理に使うことはなさそうです。

乗車するときには、駅に行って、そのまま改札に向かえば、後は専用のICカードをタッチするだけ。きっぷの出口から、「EXご利用票」なる小さな紙が出てきます。予約されている区間、列車、座席等の情報が打ち出されているので、これを確認して乗車する…という流れになっています。


今回の東京行きは、3回ともこのエクスプレス予約で新幹線の乗車券を手配しました。浜松~東京間の普通車指定席は、エクスプレス予約だと7,570円。自由席きっぷは7,770円ですから、200円安くて、しかも指定席に乗れる…ということになります。

ただ、この「安さ」にも気をつけなくてはならないポイントがあります。普通はきっぷで浜松~東京間を購入すると、行き先は「東京都区内」となりますから、JRの在来線で移動できる範囲なら、東京駅から結構離れた目的地でも、そのまま行くことができます。しかし、エクスプレス予約の場合は行き先はあくまでも「東京」。そこから先の在来線は別料金になります。

例えば、以前北千住駅(東京都足立区)まで行く仕事がありましたが、「浜松~東京都区内」のきっぷなら、上野東京ライン・常磐線経由でそのまま北千住まで行くことができます。

しかし、エクスプレス予約で同じルートを使おうとすると、東京~北千住間の運賃(ICカードなら216円)が追加で必要になり、総額では自由席きっぷを買うよりも高く付くことになります。もちろん、自由席か指定席かの差がありますから、このままの金額で論ずるのはナンセンスですが。


そもそも、定期券では自由席にしか乗れなかったこともあり、指定席に乗る習慣自体がありませんでした。それどころか、以前は指定席にはちょっと警戒感すらあったくらいで、だからこそ先ほどのような「自由席の方が安いじゃないか」なんて発想が出てきたりします。しかし、いざ使うようになってみると、指定席にはやっぱり嬉しいことがいろいろあります。

14号車1番E席:「いちばんイイ席」でもあります

今回、座席は全て車両のいちばん前の列を指定しました。ここは、壁際に備え付けられている大きなテーブルと、その脇に各席個別に付いているAC100Vの電源を占有できる席。前の座席を思いっきりリクライニングさせてくる人もいません。私にとってはいちばんの特等席です。自由席ではなかなか巡り会えないんですが、指定席ならもちろん決め打ちができます。

そして、列車の出発に間に合いさえすれば、それこそギリギリ駆け込み乗車になってしまっても、ここに確実に座れます。駆け込み乗車は褒められたものではありませんが、自由席で座りたいがために、出発よりもかなり前から…それこそ先発のこだま号の出発前から先着する次のひかり号のために並ぶようなことをする必要は確実になくなります。

実際に、長時間停車する駅だと、人の乗り込んでくる動きが明らかに違います。指定席では停車中にパラ、パラと人が乗り込んで来るんですね。自由席だと、到着した直後に列を成して入ってくるのが普通です。時間が有効活用できるという点で、実は指定席の方がお得なのかも…という考え方もできそうです。


浜松~静岡・自由席

エクスプレス予約では、あえて自由席を購入することもできます。日付だけは指定して、自由席を予約しておけば、あとは全く同じ手順で乗車できます。

浜松~静岡間は、かつて隣接駅だった(今は中間に掛川駅がありますが)経緯から割安な特定特急料金が適用され、自由席きっぷを買うと2,300円。さすがのエクスプレス予約でも、指定席をこの値段で売ってはくれません(3,040円)。その代わり、自由席で予約すれば、きっぷより安い2,290円で乗せてもらえます。

3回目の東京行きでは、前日になって静岡市に寄らなくてはならない用件ができてしまったので、予約してあった浜松~東京間の指定席を、この自由席に切り替えました。こんな風に行き先が変わる場合でも手数料は無料。ちなみに、キャンセルする場合も該当列車の出発前なら手数料は310円で済みます。きっぷだと直前のキャンセルは意外に高いんですよね。


磁気式の新幹線定期券で通勤した5年間は、ICカードで改札を抜ける人たちを横目に見ながら、「なんで定期券はタッチ&ゴーにならないんだろう」と羨んでいましたが、実際に利用してみると、このサービスの利点はそんな表面的な部分ではないことがわかりました。新幹線の駅間の移動としては、相当便利で美味しいサービスです。

周辺のJR在来線と併用したときの割高感など、ちょっと気になるポイントはありますが、年会費を払ってでも利用する価値は十分にあるサービスだと感じています。もっとも、それは今後首都圏などに出かける用事がどのくらいあるのか?にもかかっているんですけどね。



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