違いがわからないスゴさ

ステップワゴンe:HEVスパーダ・「ブラックパール2世号」に乗り始めてから、1ヶ月が経ちました。今日は1ヶ月点検に行ってくる予定です。とりあえず、不具合らしきものは全く感じていません。とにかくよく走り、よく止まる、ハンドルを握っていて気持ちいいクルマです。

それまで乗っていた1.5リッターダウンサイジングターボのガソリン車から、2リッター省燃費エンジン+2モーターのe:HEVに変わり、ハコがほぼ同じでも中身は全く別物だと感じます。試乗のときから感じていたとおり、力強さはひとクラス上のクルマと言っても良いレベル。同じ車名で呼ぶことが適切なのかどうか、疑問に感じるほどです。

しかし、その一方で感心しているのが、クルマとしての操作感覚が、ガソリン車のときとは全くと言って良いほど変わらないこと。電動化により、動作する仕組みがガラリと変わったのに、それを感じさせる明らかな違和感は見当たらないのです。

とはいえ、違い自体は確かに存在するわけで、先日、久しぶりに職場のガソリン車を運転したときには、アクセルを踏んでからの出足に明らかなタイムラグを感じました。さすがにココはモーターが直接車軸につながる電動車が圧倒的に有利。普通のオートマのガソリン車は油圧のトルクコンバーターを挟んでいるので、どうしてもダイレクト感で劣りますし、CVTのようにベルト駆動が挟まったりするとなおさらです。


特に、減速するときの違和感のなさは、驚くべきことです。従来、乗用車のブレーキはペダルを踏むと油圧シリンダーが押し込まれ、押し出されたブレーキオイルの油圧がブレーキパッドをドラムやディスクに押しつけて、摩擦力で回転を止める…という「油圧ブレーキ」が使われてきました。e:HEVスパーダにも、4輪にディスクブレーキが装備されているのですが、動作する仕組みは全く違います。

ブレーキペダルは電気的なコントローラーになっていて、踏み込む力を検知した電気信号に基づいてブレーキパッドが制御される仕組みで、油圧機構としては直結していません。ホンダでは「電動サーボブレーキシステム」と呼んでいます。とはいえ、電気系がトラブった緊急時に動かないと困ってしまうので、そのときには油圧ブレーキとしても機能する仕組みになっているのだそうですね。ペダルを踏み込んだ感触はガソリン車の初代ブラックパール号よりもかなり軽い気がしますが、それなりに踏み応えはあるものになっています。

電動化のメリットのひとつが、ペダルの踏み込みと実際のブレーキ動作の対応を電子制御で意図的に変えられることなのですが、e:HEVの場合は回生ブレーキとの協調制御にコレが生かされています。ブレーキペダルを踏んだときに、ブレーキパッドを締め付ける代わりに回生ブレーキを効かせる…ということができるわけです。

クルマを停止させたいと思ったときに、まずはアクセルを戻すと回生ブレーキが徐々に効き始めます。ブレーキペダルを踏み込むと、回生ブレーキを強く効かせて、停止する直前まで減速します。最後の最後に停止するときだけ、ディスクブレーキが働くのだそうです。もちろん、運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する回生ブレーキを徹底的に活用することで燃費には好影響がありますが、ブレーキパッドがガソリン車よりはるかに長持ちするというメリットもあります。

このあたりの動きが、メーターパネルにあるPOWER/CHARGEのメーターで随時確認できます。おそらく内部では常に計算しながら随時切り替えて…ということが行われているはずなのですが、動き自体は実に自然で、どこでどう切り替わっているのか感触ではわからず、メーター表示から推測するしかありません。

この動作を見ると、停止するときにはアクセルを緩めてゆっくり減速させるより、軽くでもいいのでブレーキを踏んで、ある程度積極的に止めに行った方が、たくさん電力を回収できて、燃費が向上しそうです。意識して、やってみましょう。


違和感がないと言えば、このクルマには、よく考えてみると電動車としては実に不自然な振る舞いをする部分があります。普通のオートマ車は、シフトレバーをDレンジに入れた状態で、ブレーキペダルを踏み込んで停車している状態からペダルを緩めると、アクセルを踏まなくてもクルマはゆっくりと前進を始めます。いわゆるクリープ現象ですね。エンジンが回りっぱなしで、トルクコンバーターで常時ゆったりと車軸につながっているからこそ起こる挙動です。

このクルマでも、ブレーキホールド機能を有効にしていなければ、ブレーキペダルから足を離しただけでゆっくりとクルマは走り始めます。しかし、基本的に発進時はモーターで走り始めるe:HEVの場合、停車時はモーターは止めておけば良いわけで、アクセルを踏むまでは走らない…という方が、機械としては素直な気がします。言い換えると、ブレーキペダルから足を離すと、ゆっくりとモーターを回し始めるように、わざわざ制御しているわけです。

クリープ現象は、マニュアル車の半クラッチ徐行の代わりに使えて便利な面はありますが、追突などの事故の原因になる危険性もあります。それでもあえてクリープさせるのは、ガソリン車と同じ操作で動かせるようにするため…というくらいしか理由を思いつきません。そうだとすれば、その狙いはしっかりハマっていると言えそうです。コントロールは今までのノリで直感的に、違和感なく行えています。

ただ、新しい仕組みのクルマなのだから、必ずしも今までどおりの操作感覚にこだわる必要はないのかな?とも思うところです。例えば日産のe-POWER車のように、アクセルペダルを戻すだけで停車まで持って行ける操作系だって構わないわけですよね。もっとも、あれも慣れるまでは意外に難しいらしいのですが。ワンペダルドライブも、未来的なイメージを植え付けるための、日産お得意のマーケティング志向の仕様のような気もします

ちなみに、ブレーキホールド機能を有効にしておくと、停止後にブレーキペダルから足を離してもクルマは停止し続けて、アクセルペダルを踏むと走り始めます。この方が、電動車っぽい反応のような気がします。渋滞時にブレーキを踏みっぱなしにしなくて済むので足が楽…ということだけではなく、将来のクルマの姿を体験するためにも積極的に使っていった方が良いかも知れません。

違いがわからないスゴさ」への1件のフィードバック

  1. 電動車でのクリープ現象の考え方について追記。
    シフトレバーがDまたはRのレンジに入っている状態なら、前後のどちらかに進もうとする意志があることは確かでしょうから、ブレーキを緩めたら走り始める…という挙動自体は自然だと思います。ただ、電動車の場合は止まっているモーターを回さなくてはならないところが、エンジン駆動とはちょっと違うかな?と思ったわけです。もっとも、アイドリングストップが行われていても同じことが起こるのですが。

    一方で、平坦地でない場合、ブレーキを緩めたら坂の下方に向かって転がり出してしまう可能性もあるわけで、これを防ぐために「ブレーキを緩めたら走り始めます」という制御にするのもアリです。自動ブレーキホールド機構との組み合わせで、アクセルを踏むまでは止まっている…という方が、より安全な気はしますけどね。

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