意欲は感じる、のだが

相変わらず「レッツノート以外の何か」を探る日々が続いているわけですが、先日の富士通の600g台ノートに続き、またも私のターゲットになり得る意欲的な新製品が発表されました。VAIO A12です。

ソニーがパソコン「VAIO」の事業を切り離し、VAIO株式会社が生まれたのは4年前のことになります。基本的にはソニー時代のVAIOの路線を踏襲した製品を、マイナーチェンジを繰り返しながら細々と(でもないのでしょうけど)販売していた…というイメージがありました。しかし、今回のA12はそうではありません。一見、見た目は従来のVAIO S13/S11あたりとあまり変わらないのですが、実は全方位的に相当「攻めた」設計になっています。


VAIO A12は、その型番のとおり12.5型のフルHD液晶画面を備えていて、フットプリントはA4用紙より長辺方向が少し長いくらいのサイズになります。先に触れたとおり、一見するとただのクラムシェル型のノートパソコンに見えるのですが、ディスプレイ部分だけを取り外してタブレットとしても使える…という、いわゆる分離合体(デタッチャブル)型の2in1端末になっています。

タブレットとしては額縁の太さが少々気になりますが、厚さはたったの7.4mm、重量はほぼ600g。BTOの「オーナーズメイド」モデルなら最高でCore i7-8500Y(いわゆるAmber Lakeですね)を搭載することが可能で、NVMe接続の最大1TBのSSD、最大16GBのRAM…と、かなりのハイスペックをてんこ盛りにできます。SIMフリーのワイヤレスWANモジュールももちろん搭載できますし、指紋認証や顔認証のためのハードウェアの追加もできます。タブレットの外部インターフェースはUSB Type-Cに集約する一方で、VGAや有線LANも含むレガシーなポートはキーボード側に任せる設計も的を射ています。

分離合体型の2in1というと、タブレットとしては結構がんばった仕様になっていても、キーボードを組み合わせたときに使い勝手がイマイチの製品が多い印象があります。画面の角度調整に制約があったり、膝の上に広げたときの安定性に難があったり、取り外し機構による重量増加で持ち運ぶには重かったり…。しかし、VAIO A12の場合、専用のキーボードユニットに取り付けると、ほぼ従来のノートPCと同じように使えるようになっています。画面角度は130度くらいまでの間で自由に調整できますし、膝の上でも普通にキーボードが打てますし、重量は1.1~1.2kgですからVAIO S13と同レベルと言ってよいでしょう。

これを実現するのが、特許技術の「スタビライザーフラップ」ということになるわけなんですが、ヒンジあたりに追加されている1枚の金属板がそれ。ディスプレイ部を開いていったときに、この板の後端が支点になることでバランスを保ちます。どうして今まで誰も気付かなかったんだ?というくらいの、あきれるくらいシンプルな仕掛けです。確かに、これなら重量に与える影響は最小限ですし、デザイン的にもさりげなく収まっています。

プレスリリースや製品発表のネットニュースなどを読んだ限りでの私の印象は、「いろいろ意欲的なのは伝わってくるけれど、ビビッと来ないなぁ」でした。そもそも、タブレット部分を外して持ち歩くことはあまり考えていない私にとっては、VAIO A12は「1.2kgのタッチパネル付き、12.5型画面のノートPC」という見方になります。このクラスなら、クアッドコアのUシリーズCoreプロセッサーを載せた製品がいくつもありますから、パフォーマンス面で見劣りする…という認識でした。Amber Lakeで作ってくるなら、キーボード付きでせめて1kgは切ってもらわないことには話になりません。


今週は、たまたま仕事で東京に出かけたので、帰り道に銀座四丁目交差点角のソニーのショールームに立ち寄り、先行展示されているVAIO A12の現物に触れてきました。事業は手放したといえ、ソニーは今でもVAIOの面倒は結構ちゃんと見ているようですね。ネット直販のソニーストアで売っているわけですし。

分離合体型の2in1の場合、合体機構部分の強度が気になるわけですが、特にガタつくこともなく、しっかりしています。ディスプレイ側(=タブレット側)を軽くつまんで持ち上げても、全く不安はありません。もちろん、タブレット部分のみでも筐体の剛性は十分です。画面には我が国の誇る化学強化ガラス「Dragontrail Pro」が使われているそうで、こちらの強度も安心です。もっとも、Dragontrail Proだって割れるときは割れるのですが(涙)。

スタビライザーフラップの効果も確認してきました。確かに、目一杯画面を開いても安定感は抜群です。もう少し広く開いてくれるとさらに嬉しいのですが、そもそもまともに角度が調整できない2in1もある中で、贅沢を言いすぎなのかも。構造自体も無理なところはなくシンプルで、強度的にも大丈夫そうです。

展示機には、Core m3-8100Yが搭載されていたようですが、普通に操作している限りでは、動作のもたつき等は全く感じられませんでした。持ち歩いて使うPCは、キーボードなどで対話的操作を行うことが多いわけですが、この場合、連続して高い負荷がかかるわけではないので、普段の消費電力は徹底的に絞った上で、いざという時の瞬発力がある(Core i7-8500Yなら1.5~4.2GHz、Core m3-8100Yでも1.1~3.4GHz)Yシリーズプロセッサーの採用は、理にかなっていたりします。


VAIO A12の実物に触れてみた感想は、「思ってたよりはずいぶんデキがいいぞ、これは」でした。初めてモバイルパソコンを買おうとしている方には、オススメしても大丈夫そうです。それでも、その場にも持参していたレッツノート・CF-RZ4と比べてしまうと、やっぱり私の目には「大きくて重いパソコン」と映ってしまうんですよね。比較対象が贅沢すぎるのでしょうか。

考えてみると、Amber Lake搭載機に触れたこと自体も初めて。Yシリーズプロセッサーでもパフォーマンスに不安を持つ必要はないと確認できたのも、今回のポイントかも知れません。実は、Amber LakeのTurbo Boost時のクロック周波数は、第7世代のUシリーズCoreプロセッサーよりも高速。ついついクアッドコアの第8世代Uシリーズと比べてしまうから、物足りなさを感じるのでしょうか。これなら、「CF-RZ6の次」がAmber Lakeを採用しても、不満はないかも知れません…って、結局そこに行ってしまうのかなぁ?(苦笑)。



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