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カードのおもてウラ

先々週あたりから、Web広告でJCBのカードリニューアルのキャンペーンを見かける機会が増えています。「スタイリッシュな」新デザインはともかく、タッチ決済に対応したことが売りの一つで、期間限定でタッチ決済の利用に20%のキャッシュバックを付けてくれるのだそうです。

クレジットカードのタッチ決済は、VISAMasterCardAmerican Expressも既に導入していて、カードやスマートフォン等のデバイスをリーダーにタッチするだけで、少額なら暗証番号も無しで決済できます。妻の店でも、Squareのリーダーにはタッチ決済機能があるので、既に使えるようになっています

カード等でのタッチ決済といえば、私たちにとっては既にお馴染みの方法ではあるわけですが、Suica等の電子マネーやおサイフケータイに使われていたFeliCaという規格は、日本でしか使われていません。クレジットカードに使われているのは、「NFC Type A/B」と呼ばれる別の規格になります。決済には別の機器を用意しなくてはならない…ということになり、日本ではこのタイプのタッチ決済は導入が遅れていましたが、使える店は徐々に増えているようです。

日本企業が技術的に先行し、国内では普及できたのに、国外への展開でつまずき、後発の規格に主導権を握られてしまう…というのは、かつて携帯電話の世界で起きた事象の再演に見えます。良い技術を開発するだけでは、普及に落とし込むには足りません。どうも日本の企業、業界団体、政治家、…いろいろなものは、こういう交渉ごとが苦手なのだろうか?と感じる場面をよく見かけます。


…と、ちょっと話が横道にそれてしまいましたが、JCBのキャンペーンでは、本来のカード切替期限前に新デザインのカードに切り替える手数料も無料となっています。せっかくなので、この機会に自分のJCBカードを切り替えておくことにしました。

カードの新デザインは、これまでよりも大幅にシンプルな造形になったのが印象的なのですが、単に意匠の問題ではなく、そもそも記載される情報に大きな違いがあります。従来はカードに会員番号とローマ字表記の氏名、有効期限が刻印され、表面から読める形になっていましたが、新しいカードにはそれがありません。JCBというカードのブランド名とICチップの電極、タッチ決済対応を示すアイコンがあるだけです。刻印されていた情報は、署名欄などと合わせて、裏面に集約されて印字されるようになりました。刻印がないので薄く、嵩張らないのはありがたいです。

そもそも、なぜクレジットカードに会員番号等が刻印されていたかというと、かつてはこの刻印を使ってクレジットカードの番号を伝票に転写していたから。現在は電子情報を読み取ってオンライン処理されるのが普通ですから、刻印する必要性はほぼ無くなっています。

それどころか、実はカード上から目視できるように情報を記載する必要性自体が薄れ、逆にカード番号等の情報を盗み取られ、不正使用につながりかねない…というリスクになります。カード表面に情報を記載しないのは、提示したときに盗み取られる(例えば隠しカメラで撮る)ことを防ぐ意図があるそうです。一方で、裏面にすべて集約されていると、裏返して確認されれば一発のような気がするのですが…タッチ決済等で、店員に渡さずに処理が可能になることを前提にしたデザインなのでしょうね。その場合、情報が集約されていた方が、覗き見られないように隠しやすいのは確かです。

三井住友カードが、ほとんどカード面に情報が記載されていないカードを提供しています。情報を確認したいときには、スマートフォンアプリを使うのだそうです。スマホの方に生体認証などでロックを掛けておけば、カードに情報が書いてあるよりも安心そうです。私はこれで良いと思います。

スマホを使えない人はどうするんだ?というご意見もあるかもしれませんが、60歳代でも2人に1人以上がスマートフォンを使っている…なんて調査報告もありますし、案外大丈夫ではないでしょうか。クレジットカードを世界を股に掛けて持ち歩き、アクティブに行動したい人が、スマートフォンの使用を頑なに拒むパターンも考えにくいですし。


カードの表裏の記載情報といえば、以前から気になっているのがマイナンバーカード。カード内のICチップに記載情報と電子証明書が入っているわけですから、これも必ずしもカードに情報が記載されている必要はありません。

表面には氏名と住所、生年月日に顔写真。これは、提示して身分証明に使う用途がある以上、書かざるを得ないのでしょう。しかし、何度でも言いますが、裏面に書いてある12桁のマイナンバーは、どうして書かなくてはならないのか不思議で仕方ありません。そもそも、マイナンバー(マイナンバーカード、ではなく)を窓口に提示するような場面は想像できませんし、想定もされていないはずです。電子的な手続きにしか使わないのですから、マイナンバーは暗証番号等で保護したICチップの中にあれば十分ですし、それどころかカード内には置かずクラウドにあった方がよっぽど安心です。

総務省によると、マイナンバーカードは既に国民の4割に行き渡っているのだそうで、ここまで進んでしまうと、今さらデザイン変更をするのは難しいのかも知れません。それでも、本気で普及させる気があるのなら、何かしら変えるべきではないかと思います。電子証明書だけスマホのNFCモジュールの中に入れられるようになってくれれば(マイナンバーカードの非接触インターフェースもNFCです)、ずいぶん状況が変わりそうなのですが。



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コメント

“カードのおもてウラ” への1件のコメント

  1. webmasterのアバター
    webmaster

    三井住友カードでは、さらにその先を行く「カードレス」のクレジットカード(何とも変な日本語ですが)の提供も始めています。
    https://www.smbc-card.com/camp/cardless/index.html
    すべての情報はアプリで管理。Apple Payに設定すればタッチ決済ですぐに使えるのだとか。現状ではGoogle Payには設定できないのだそうですが、NFC対応のAndroid端末は結構あるわけですし、是非とも対応を期待します。

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