先週届いたThinkPad X13 Gen 6 Intelを、早速毎日持ち歩いています。人生で初めて「レッツノート以外の何か」のオーナーになったわけですが、届いてから1週間しか経っていないのに、世界がガラリと変わったような感覚があります。持つモノ、触れるモノが変わったのだから当たり前なのでしょうけれど…。
レッツノートも、ThinkPadも、どこにでも持ち歩いて仕事ができるための道具を目指して作られた、長い歴史を持つブランドですが、同じようなコンセプトで作られてきたはずなのに、出来上がっているモノはずいぶん違う気がします。まずは、ThinkPadの外観を中心に見ながら、どう違うのか考えてみましょう。




一般的にノートPCには、天板・ディスプレイ面・キーボード面・底面の4つの広い平面があります。それぞれA面・B面・C面・D面と呼ばれたりもしますが、私のThinkPad X13 Gen 6 Intelの場合は、底面カバーがアルミニウム製ということもあり、全ての面が異なる材質で作られていることになります。
しかし、タッチパネル画面のB面はともかく、他の面の外見はさらりとしたマットな風合いの黒で統一されています。もちろん塗装により実現されているわけですが、表面を撫でると指先に引っかかる微妙な抵抗があって、持ち歩くときには滑り止めの役目を果たします。面白いのは、このつや消しブラックの塗装が、ThinkPadの誕生から30年以上、基本的に変わらず続いていること。そうではない表面処理の製品もいろいろ登場はしましたが、基本線はコレ!という形で守られ続けています。
レッツノートやDynabook、FMV、VAIO、あるいはMacなど、20世紀から続いているPCのブランドはいくつかありますが、どれもデザインが結構大胆に変化してきています。ThinkPadの場合は、傍流でとんでもない変化球もあるものの、長い間変わらず続いている本流のデザインコンセプトが明確なのが強みだと思います。初めて妻にX13 Gen 6を見せたときの反応が「うわ~、ThinkPadだ~♥」という感じだったのは、何とも象徴的です。彼女がThinkPadを使っていたのは、もう30年近く前のはずですが、ThinkPadのアイデンティティーはずっと変わっていないんですね。
とはいえ、最初は「松花堂弁当から着想を得た」と言われる分厚く四角い箱型の筐体は、今ではずいぶん薄い板状に変わりましたし、「赤ポチ」ことTrackPointに加えてパームレストに大きなタッチパッドが付いたり、ディスプレイ上部にはWebカメラを収める「コミュニケーションバー」の突起があったり…と、新機軸は随所に取り入れられています。折れ曲がるOLEDディスプレイを使ったThinkPad X1 Foldなんて製品もありました。伝統を守りつつ、攻め続ける姿勢を感じますね。長く続いているブランドは、みんなそうだと思います。

余談ですが、ThinkPad X13 Gen 6 Intelにプリインストールされている「Lenovo Commercial Vantage」アプリには、「デバイスのクリーニング」という機能があります。筐体を掃除するために、キーボードやタッチパッド、TrackPointの入力を一定時間受け付けなくすることができるんですね。電源を切ってしまえば済む話のような気がしますが、「掃除させる」ことをユーザーに意識させる演出にも見えます。ThinkPadの塗装は手で持つと指紋の跡もちょっと残りやすいのですが、機能重視の選択とはいえ、愛着を生む演出の一環…という面もあるのかも知れません。




ThinkPad X13 Gen 6には、ThinkPadのロゴが2カ所、Lenovoのロゴが1カ所付けられています。ThinkPadのロゴは天板とパームレストに、どちらもかなり目立つ大きさで付けられていて、天板は鏡面仕上げのパーツが貼り付けられている上に、「i」の文字の点の部分にはLEDが仕込まれ、電源インジケーターとして機能します。パームレストのロゴはさすがに光りませんが、文字は印刷ではなく彫り込んであります。とにかく、よく目立つロゴです。
ちなみに、ThinkPad X1 Carbonの場合は、天板のロゴに「X1」の文字も大きくあしらわれているわけですが、X13 Gen 6の場合はコミュニケーションバーの上にごくごく控えめに「X13」の文字があります。フラッグシップのX1 Carbonはともかく、「普通のハイエンド」X13ならこのくらいがちょうどいい気がします。



レッツノート・CF-SV8を見ると、Panasonicのロゴが天板とパームレストの2カ所、Let’snoteロゴがパームレストに1カ所ありますが、全て印刷になっています。当然、ロゴが多かったり大きかったり、あるいは手が込んだりしている方が、作り手がアピールしたいことのはずで、レノボとしては自社の名前よりもThinkPadブランドを強力に推しているわけです。
そもそもThinkPadはレノボがIBMから2005年に買い取ったブランドで、既にIBM時代よりレノボ時代の方が長くなっています。買収当初は「中国のメーカーにThinkPadが買われちまったぞ。『安かろう、悪かろう』になっていくのかなぁ」と、かなり悲観的なイメージを持ったのを覚えています。しかし、20年以上経ってもアイデンティティーを保った製品が作り続けられている事実は、レノボが「ThinkPad」というブランドに対して並々ならぬ敬意を払っている証拠に他なりません。老舗ブランドの価値を守りつつ進歩させていこうとする気概は、ソニーにとってのデジタル一眼カメラ「α」ブランドの位置づけと、非常によく似ている気がします。
ThinkPad X13 Gen 6 Intelに触れていて感じるのは、持ち歩くこと、開いて使うことに対して、「気持ちイイ」という快感が生まれること。レッツノートを使っていて感じる安心感とは、ちょっと異質なものです。
レッツノートも、ThinkPadも、ビジネスモバイルとして実用性を重視して磨かれてきた製品ですが、いちばん大きな差だと感じるのが、レッツノートが徹底的に実用本位なのに対して、ThinkPadでは、ロゴのような直接的には機能に関係ない部分にも、「ThinkPadを使っている歓び」を盛り上げるべく本気で手間を掛けているところです。どちらもストイックなモノ作りをしていることは間違いないのですが、見比べると、パナソニックはちょっとマジメすぎるのでは?と思います。まあ、レッツノートにはレッツノートの、そしてThinkPadにはThinkPadの、それぞれの流儀があるということなのでしょうね。
ちなみに、ロゴが大きく派手で手が込んでいるのは、別にレノボが始めたことではなく、IBM時代からずっとこの調子(むしろもっと派手でした)。ThinkPadの開発は、当時から日本の大和研究所で行われていたそうですが、こういう「見栄えにこだわる」考え方は、非常にアメリカらしいなぁ…と思うところです。

実は、昔のレッツノートを見てみると、ロゴはThinkPadほど自己主張が激しくはないものの、クロームメッキの別体パーツをしっかり貼り付けています。もしかすると近年のパナソニックにはその余裕がなくなっているだけなのか?と思ったりもして、ちょっと心配です。
…と、それはともかく、そんなThinkPadのこだわりは、ユーザーインターフェースにもいろいろと息づいていると思うわけですが…続きは、ちょっと回を改めることにしましょう。モノを書くのにアタマを使いすぎて、ちょっと疲れました。そろそろ、AIに任せちゃおうかなぁ(もちろん嘘です)。
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