レッツノート・CF-SV8の次に、私の相棒になって欲しいモバイルノートPCを探し続けていますが、明確な方針が定まらないままに、ついに3度目の本格的な夏を迎えようとしています。こんなに長引くことになるとは、全く想定していなかったのですが…まだCF-SV8がちゃんと動いているのが、せめてもの救いです。
ここまで、実にいろいろなメーカー、いろいろなスタイルの製品を俎上にあげ続け、ほぼコレ!と決まっているような状況も何度かありました。それでも、いざ発注できる段階に達するまでに、何かしら引っかかるポイントや新たな問題が出てきてしまい、結局買えずじまいになっています。
そんな中で「面白そうだけど、まだ登場するのは先になるしなぁ」と検討対象から外していた商品が、いつの間にか世に出てきています。例えば、ThinkPad X13 Gen 6 AMDもその中の一機種です。
今年3月のMWC Barcelona 2025でレノボからお披露目されたThinkPad X13 Gen 6は、このシリーズでは初めて本体重量が1 kgを下回る…という、圧倒的な軽量設計が最大の特徴です。4月には既に登場していたIntel版に続き、6月20日にAMD版も日本市場への投入が始まっています。


Intel版とAMD版の外観はほぼ同じで、最大の違いは搭載しているCPUプラットフォームということになるわけですが、それに付随して、現時点のPC選びの中では重要になる、将来性の決定的な差があります。それは標準の壁紙を見ると一目瞭然。AMD版のデスクトップのカラフルな壁紙は、Copilot+ PCの証しです。壁紙が青一色のIntel版は、NPUは搭載しているものの能力が足りず、Copilot+ PCになることはできません。
AMD版に搭載されているRyzen AI 5 PRO 340/7 PRO 350(Krackan Point)は、基本的には昨年デビューしたRyzen AI 9 HX 370(Strix Point)と基本構造は同じですが、搭載モジュールの数を減らすことで、より低価格で供給できる仕様になっています。とはいえ、Ryzen AI 7 PRO 350なら最大5.0 GHzで動作する8コア・16スレッドのCPUが載っていて、Core Ultra 7 258Vあたりと互角以上の勝負をします。GPUはRyzen AI 9 HX 370よりかなり縮小されていることもあり、Core Ultra 200Vシリーズ(Lunar Lake)には及ばないようですが、実用には十分。NPUについてはRyzen AI 9 HX 370と同じ50 TOPSの能力があります。総合的に見て私のニーズには合致しそうです。
プレミアムな価格帯で実はオプションが意外に自由に選べないThinkPad X1 Carbonとは違い、X13はもう少し低い価格帯から、カスタマイズオプションを細かく選んで仕様を詰めていける構成になっています。最低限のベースモデルだと、例えば指紋認証センサーも人感センサー付きWebカメラも、キーボードバックライトも装備されていませんが、全てオプションで載せることができます。そして、これらをてんこ盛りに載せても、金額はX1 Carbonよりずいぶん抑えることができます。
レノボの製品ページを見ると、3月のお披露目の時点では「AMD版には搭載しない」とされていた、タッチパネル付き画面の仕様についてオプションで選択できるような記載があります。今のところ、カスタマイズメニューの中ではオプションとして選択できませんが、追加されることが決まったのかもしれません。ワタシの記事も読んでいただいたのかしら(笑)。
ワイヤレスWANについても、現時点ではオプション選択が表示されませんが、7月中旬には注文可能になることがページ上に明記されています。一時は「テザリングでもいいか」と搭載をあきらめかけていましたが、ワイヤレスWANが内蔵されている利便性は、一度慣れてしまうと手放せない魅力があります。できることなら、やっぱり載せたいところです。
以前から何度か紹介している、英語版の詳細なスペックシートも既に公開されています。PSREF(Product Specifications Reference)というWebサービスの一環なのですが、レノボは分解メンテナンスのマニュアルなども含め、この辺りの技術情報の開示には実に積極的だと感じます。
コレを見ていくと、さらにいろいろなことがわかります。例えば、日本語版の製品ページではまだ「測定中」となっている、JEITA測定法 3.0によるバッテリーライフの評価も既に載っています。英語版では「JEITA-BAT 3.0」と記載されていますが、実質的に日本限定のスペックでもキッチリ評価を出しているのは、さすが世界トップのPCメーカーです。
バッテリーはいずれも54.7Wh仕様 | SoC / 画面 | MobileMark 25(時間@Performance score) | JEITA 3.0( 動画再生/アイドル) | ローカル動画再生 |
仕様1(動作時間最長) | Ryzen AI 7 PRO 350 / 1920*1200 LCD(non-touch) | 14.88 h@777 | 15.4 時間 /22.9 時間 | 23.6 時間 |
仕様2 | Ryzen AI 5 PRO 340 / 1920*1200 LCD(touch) | 14.28 h@798 | 13.9 時間 /20.9 時間 | 20.2 時間 |
参考 https://psref.lenovo.com/Product/ThinkPad/ThinkPad_X13_Gen_6_AMD?tab=spec
ちなみにバッテリーライフの評価はこんな感じ。丸1日を走りきれる、十分なスタミナの余裕があると言えそうです。
液晶ディスプレイについては、タッチパネルの有無にかかわらず明るさは400 nits、色域はsRGB 100%カバーとなっていて、表示の美しさとしては同レベルだと思って良さそうです。タッチパネルは画面上にタッチ回路も作り込んでいるOn-cell方式なので、重量の増加はそれほど大きくなさそうな気がします。
ちょっと気になるのが、底面側のボディー素材がアルミニウム製とマグネシウム製の2種類あり、製品のカスタマイズページでは「ワイヤレスWANを装備するとアルミニウム製が自動選択される」という記載があること。この素材の差は、重量にかなり大きな影響を与えそうな気がします。何しろ、比重からして全然違いますからね。
先に「何をあきらめようかしら」ということで、妥協するポイントをどう考えれば良いのかまとめようとしてみたわけですが、ThinkPad X13 Gen 6 AMDに適切なオプションを盛り込めば、「14型以上の大画面」と「SDメモリーカードスロット」くらいしかあきらめるモノがないことになります。予算的にもThinkPad X1 Carbonよりは何とかなりそうな気がします。強力な大本命候補の登場!といえるのかも知れません。
ただ、画面の大きさは、老眼がこれからもどんどんヒドくなるであろうことを考えれば、なかなかシビアな話。13.3型と14.0型では、面積の差は約1割あります。例えば、ここまでの有力候補のひとつであるOmnibook Ultra Flip 14-fhとThinkPad X13 Gen 6 AMDを並べてみて、重量オーバーと小さな画面のどちらを取るのか?と考えると、これはやはり難題になりそうです。
レノボのアナウンスによれば、ワイヤレスWANのオプションが選べるようになるまではまだ数週間あります。そこまでには落とし所を決めたいところです。
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