「6」ではあったが

5月27日に、パナソニックコネクトからレッツノートの新製品が発表されました。パナソニックストアプラスでは数日前からティザー広告が展開されていたこともあり、「高性能コンパクトモバイル」SRのコンセプトを引き継ぐ新シリーズはどんな製品になるのか、いろいろ予想しながら楽しみに待っていました。

今回登場したのは、新設計の筐体に身を包んだCF-SC6。とはいえ、基本的にはSRからのキープコンセプトで、12.4型、3:2比率の画面を持ち、A4用紙サイズよりも小さなフットプリントの「小さなレッツノート」です。

キープコンセプトと紹介してはみたものの、ハコから見た変更点は、意外に多岐にわたります。ティザー広告の映像を観察して気が付いたWebカメラの物理シャッターらしきモノは、そのものズバリの大正解。SRの頃の位置には見当たらなかったスライド式の電源スイッチと指紋センサーは、押しボタンに一体化されてヒンジ近くの中央付近に移動しています。

バッテリーは交換可能だがネジ留め式に。交換にはプラスドライバーが必要

ユーザーが取り外し可能なバッテリーは引き続き採用されていますが、固定方法がネジ留め式に変更されています。従来は、レバーをスライドさせるだけで簡単に交換できたのですが、利便性としては一歩後退した感があります。プラスドライバーを1本持ち歩けば、従来製品のように交換しながら使うことも不可能では無さそうですが、これはむしろ最近のレノボのCRU扱いの内蔵バッテリーや、ダイナブックのCHANGERに近い使い方をイメージした方が良さそうです。

とはいえ、最近のノートPCはバッテリーがいろいろな意味でタフになったので、スペアを持って移動するほどの必要性は感じなくなっています。私も、かつてのレッツノートには一つずつスペアバッテリーを用意していたのですが、結局CF-SV8にはスペアバッテリーを追加購入していません。


レッツノートと言えば、外部接続インターフェースの豊富さも特徴の一つで、特にレガシーなインターフェースをずっと搭載し続けていたところが目立ったわけですが、今回はついにアナログRGB15ピン(VGA)の端子が外されました。そして、SDメモリーカードスロットも搭載されなくなっています。

どちらも、現場での必要性を考慮して、軽量化のために外しても問題ない…と判断されたのでしょう。実際、外出先でのプレゼンでもプロジェクターの接続はHDMIが普通になっていますから、VGAの削除は問題ないと思います。ただ、SDメモリーカードについては、大量の写真を読み込みたい場面もあるので、残してくれる方が嬉しかったかも知れません。

有線LANポートや専用の丸形のACアダプター接続端子は残りましたが、レッツノートならではの個性はずいぶん薄まったような気がします。例えばFMV Note U(あちらにはMicroSDスロットがある)やThinkPad X1 Carbon(有線LANはUSB経由ですがMACアドレスパススルー対応)とほぼ同等と言えそうで、「レッツノートでなくては」という理由が一つ減った気がします。


Meteor Lakeが搭載されていたCF-FV5に対して、「CF-SC6」と末尾の数字が6になったことは、プラットフォーム世代が更新されたことを示します。ただ、カスタマイズレッツノートのスタンダードモデルに搭載されるのはCore Ultra 5 225U、プレミアムエディションに載るのはCore Ultra 7 255H。いわゆるArrow Lake世代のプロセッサーということになり、AI PCとは呼べるものの、Copilot+ PCにはなれません。

とはいえ、Arrow LakeはSoCとしての総合力ではLunar Lakeを上回れるポテンシャルを持っているわけで、レッツノートとしては「現時点での名より実を取った」のだろうな、とは思います。Copilot+ PCを名乗れる権利をもらうためにLunar Lakeを載せれば、Windows 11で使える機能はいくつか増えますが、逆に言えば現時点ではそのくらいしか差がありません。そこまでNPUをフル回転させるアプリは、他にはまだほとんど無いわけで、より一般的なCPUのマルチスレッド性能では、コア数が多いArrow Lakeには及ばない…ということになります。

バッテリーでの動作時間がCF-SR4よりも大幅に伸びている(JEITA 3.0基準で動画再生時12.7 時間、アイドル時34.6 時間)のも、Arrow Lake搭載の効果でしょう。Lunar Lakeならもっと伸ばせたかも知れませんが、大昔から「モバイルでもハイパフォーマンス」志向だったレッツノートとしては、Lunar Lakeの「Uシリーズとしては最強」レベルの性能では我慢できなかったのかも知れません。

まだ現物には触れる機会が無いわけですが、レッツノートが筐体設計で手を抜いたらレッツノートではないわけで、モノとしての出来で不満が出るような製品ではあり得ないでしょう。レッツノートクオリティが維持されているという前提で、Copilot+ PCへのこだわりがなく、小さい画面にも抵抗のない、そしておカネに糸目を付けない方にはオススメして大丈夫そうな製品です。残念ながら、私はその全てに当てはまらないわけなのですが…。



コメント

“「6」ではあったが” への2件のフィードバック

  1. 400のアバター

    SDカードが使えないのは、非常に残念です

    1. webmasterのアバター
      webmaster

      400 さま:
      コメントありがとうございます。
      ワタシも、個人的なニーズとしてはSDメモリーカードがあるとありがたいのですが、企業向けだと、セキュリティー上の問題でリムバーブルメディアが使えること自体が嫌われることも多いのだそうで、スロットに目張りがしてある業務用PCも、いくつか見たことがあります。企業向けがメインのレッツノートですから、SDメモリーカードスロットが外されたのは時代の流れかもしれませんね。

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